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観光庁観光資源課・佐藤司氏が語る、観光庁がいま観光DXに取り組む理由

 来る12月2日15時30分より、観光DXを推進する観光庁観光資源課 新コンテンツ開発推進室の佐藤司氏、株式会社やまとごころ 村山慶輔氏、NTTコミュニケーションズ株式会社 戸松正剛氏がクロストークを展開するウェビナーを開催します。

 そこで今回は登壇者の1人である佐藤氏に、観光庁がいま観光DXを推し進める理由、そしてその先に見据える観光の未来についてお聞きしました。

 なお、ウェビナーでのトークテーマは、皆様からの質問をもとに決定します。そこで本記事を読んでの感想や疑問など、ウェビナーで聞いてみたいテーマについて皆様からの質問を募集します。質問フォームより、ぜひ皆様の声をお聞かせください!

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▼ウィズ・コロナ時代の観光業に求められるもの

――この7月から新コンテンツ開発推進室に着任された佐藤室長ですが、まずは日本の観光シーンの現状について、どのような所感をお持ちでしょうか。

 ご存知のように訪日外国人旅行者が激減し、多くの地域において観光業は厳しい状況です。私自身も緊急事態宣言の期間を避けて、近場の観光地を訪れているのですが、やはり以前と比較して閑散としていることを肌身で感じています。

 ただ、その一方で、現地の方と話していて、苦境の中でも元気を失わず頑張っている事業者の方が大勢いらっしゃることも実感しています。これからはウィズ・コロナ時代にどう稼ぐかをより重視していかなければならないでしょう。

――つまり、いまこの時間にどれだけ力を蓄えられるかが問われているとも言えますね。

 その通りです。今回の新型コロナウイルスに限らず、同様の災害は今後も発生する可能性がありますから、観光業も商品やサービスの形態を、必要に応じてアレンジしていかなければなりません。そのためには今回の有事で得たデータを無駄にしてはならず、密を避けた観光など、感染症対策に有効な手立ての確立を目指すべきでしょう。

――そこで観光庁が推進しているのがDXの導入です。デジタル技術にどのような可能性を感じていますか?

 観光DXとひとくちに言っても、その波及効果は広範囲に及ぶと思います。大まかには、予約対応などオペレーションの電子化、XRなどを応用したデジタルならではのコンテンツ開発、そしてデータに基づいた観光地経営の効率化という3つに集約できるでしょう。

 とくに3つ目のデータに基づいた観光地経営は重要で、観光客が何を求めているかというニーズを正確に把握し、それを次の施策に生かす工夫が、今後は欠かせないのではないでしょうか。

――日本の観光シーンにおいて、これまでデジタル技術の活用が遅れていた原因を、どのように分析していますか。

 ひとつには、インバウンド需要の拡大により、これまで右肩上がりで来訪者数が増えていたことが大きいでしょうね。わざわざ不得手なツールに手を出さずとも、十分に売上げアップが果たせていたわけですから。

 その結果、ニーズのある商品さえ用意すれば利益があがる構図に慣れてしまい、デジタル化戦略を進める必要性が薄れてしまいました。そうした環境ではDXに対応できる人材が育まれるはずもなく、SNSすら有効活用できない地域が散見されるに至ったのだと思います。

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▼成功体験の積み重ねでDXへのハードルを下げたい

――今期、観光庁では観光DX推進のための実証事業をサポートしています。全17事業について、どのような印象をお持ちでしょうか。

 現地を疑似体験できるオンラインイベントや、感染症対策に資するダイナミックプライシングの取組など、非常に多岐にわたっていて、いずれもウィズ・コロナ時代を意識したものになっていると思います。

 実証は現在も進行中ですので、有意義な成果が得られるよう、引き続きしっかりと取り組んでいきます。

――では、とりわけ注目している事業を挙げていただくとすると?

 たとえば、富士五湖エリアの手ぶら周遊観光の取組などはユニークですよね。顔認証技術によって各施設の入場だけでなく、交通機関までが手ぶらで利用できるのは画期的だと思います。

 日本人は本来、顔を撮影されることに敏感で、個人的にそれが顔認証の浸透を阻害するのではないかと懸念していましたが、富士急ハイランドなど遊戯施設を中心に据えることで、旅行者が構えることなく参加できる状況を作れていることは大きいと思います。ここで具体的な成功事例が作れれば、さらに様々な地域や業態への横展開もやりやすくなるでしょう。

――また、先ほどおっしゃられたデータの蓄積という点でも、有意義な取組ですね。

 そうですね。ニーズと人流をしっかり掴むことは、旅行者一人あたりの消費額の底上げにも繋がるでしょう。これはいま行政が推進しているEBPM(エビデンス・ベースト・ポリシー・メイキング)の考え方と同様で、データを把握し、それを分析し、業務改善に生かすサイクルをいかに定着させられるかがポイントです。

――最後に、いま観光庁がこうしてDXを推進することの意義について、総括していただけないでしょうか。

 DXという言葉があることによって、デジタルに対するハードルが闇雲に上がってしまう側面もあるでしょう。今回の観光DXに関する一連の取組を通じて、デジタルがいかに身近で、着眼点次第で高い効果が得られるものであるのかを周知するきっかけになれば幸いです。

 広義では、ツアー商品の案内をメールやLINEで行うだけでも十分にDXの範疇と言えますし、そこで特定の趣味・趣向を持つ潜在顧客だけを集めてグルーピングをするだけで、コンバージョン率は上がるはず。

 もちろん事業者により環境やリテラシーが異なりますから、まずはできる範囲で、小さな成功体験を積み重ねることから始めていただきたいですね。観光庁の今回の取組がその一助となることを願っています。

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