〈事業レポート〉「XR×オープントップバス」でみなとみらいに仮想世界が出現!
VRゴーグルを装着しながらオープントップバスで横浜・みなとみらいエリアを周遊する「KEIKYU OPEN TOP BUS -YOKOHAMA- NAKED XR TOUR」が、2021年12月18日から2022年1月16日まで実施され、大きな反響を呼びました。
これは観光庁が主導する「これまでにない観光コンテンツやエリアマネジメントを創出・実現するデジタル技術の開発事業」に採択された「XR技術(※1)を用いた屋外周遊型XRテーマパーク開発事業」の取組です。
みなとみらいの街並みが、時に未来にタイムスリップし、時に海底に沈む不思議な観光体験。実際にツアーに参加して、XR技術がもたらす幻想的な世界をたっぷり堪能してきました。
▼最新XR技術と共にみなとみらいの街へ
スタート地点は横浜の代表的な観光スポットの一つ、赤レンガ倉庫。乗客はオープントップバスの2階席に乗り込み、係員の案内に従ってHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着します。
VRゴーグル越しに見えるいつものみなとみらいの風景は、バスが発車するとやがて、少しずつ世界観を変えていきます。最初に出現したのは、未来のみなとみらいでした。高層建築物の間をドローンのような飛行体が行き来するまるでSF映画のセットに潜り込んだかのような未来都市の姿に、多くの乗客から歓声が上がります。
そしてバスが進んでいくにつれ、未来都市から海底都市へと風景は変貌。見慣れたみなとみらいの街並みがそのまま海底に沈む架空の設定で、目の前をクマノミやくらげ、ペンギン、クジラ等が遊泳していきます。手のひらから泡がのぼったり、手を振ると魚が反応してくれたりするのは、XRの世界ならではの楽しさでしょう。
ランドマークタワーや馬車道等おなじみの風景を通り過ぎ、大さん橋に差し掛かると、風景はリアルの世界に戻ります。現実そのままの風景の中、次々に上がる大きな花火を楽しみながら、バスはゴール地点の赤レンガ倉庫へと向かいます。
ツアーの終盤には、視界に雪がちらつき始めました。ここでも手のひらから美しい雪が舞う演出がなされ、幻想的なバスツアーの幕が閉じました。
▼見えてきた観光バスの新たな可能性
XR技術によって、乗客が見ている実際の風景に、仮想の世界が自然な形で融合するのがこのツアーの醍醐味。監修の京浜急行電鉄株式会社の羽根一貴氏は、今回の取組を次のように振り返ります。
「乗車率も当初の目標を大きく上回り、XRとバスツアーの組み合わせがお客様に強く訴求できるコンテンツであることを、あらためて認識できました。実際にお客様から『現実とXRの融合を初めて体験して、感動しました。自分の手の動きを検知して映像に反映されるのが面白かったです』といった感想も頂いています」
自然な没入感を重視するために、制作の舞台裏では知られざる様々な苦労がありました。
「映像の動きや切り替えのタイミングについて、できるだけ違和感を抑えるよう何度もテスト運行を重ね、微修正を繰り返しました。特に赤信号や渋滞など、交通状況がコンテンツの動きに影響を及ぼすのもハードルの一つで、時間帯ごとの交通状況を精査し、できるだけスムーズに運行できるダイヤ構成を心掛けていました」(羽根氏)
このほか、VRゴーグルの扱いに不慣れな乗客が多く見られたことから、「運行開始日は1名だった添乗員の人数をすぐに2名に増員し、現場のオペレーションを強化することでお客様にストレスなくツアーを体験していただけるよう配慮しました」と羽根氏は振り返ります。
そうした苦労の甲斐あり、当初予定よりも運行を増便するなど、人気を博したこのツアー。乗客から様々な生の声が得られたことは、今後の取組の糧となるでしょう。
「お客様からの反応だけでなく、みなとみらい周辺の複数の企業が本事業に興味をお持ちになり、コラボレーションの可能性を見出せたことも成果の一つだと思っています。次年度以降の取組では、定期的な運航便の販売や、ほかのエリアへの水平展開等も含めて検討していきたいですね」(同)
技術面では、システムをより安定させる工夫や、大量の消費電力を賄う給電方法の確立など、いくつかのブラッシュアップの余地が残されていると語る羽根氏。心は早くも、更なるツアーのクオリティアップに向かっています。
最新技術との融合で拓かれる観光バスの新たな可能性。今後、同社からどのようなツアーが飛び出すのか、楽しみです。
※公式ウェブサイトはこちら>>>
https://event.naked.works/keikyu-xr-bus/minatomirai/
(本バスツアーの申込は終了しています。)
▼用語説明
(※1)XR技術
VR(Virtual Reality(仮想現実))、AR(Augmented Reality(拡張現実))、MR(Mixed Reality(複合現実))等の先端技術の総称で、今後さまざまな領域での活用が期待されている技術。
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最後に……
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