〈事業レポート〉日本刀の歴史と魅力に触れる瀬戸内市のオンラインツアー
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〈事業レポート〉日本刀の歴史と魅力に触れる瀬戸内市のオンラインツアー

観光DX推進プロジェクト

「日本刀の聖地」として注目を集めている岡山県瀬戸内市。これまでも日本刀制作過程の動画コンテンツや、名刀「大般若長光」の写し刀をオンラインツアーで披露するなど、刀剣ファンに向け、さまざまな取組を行ってきました。

 今回、観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「日本刀の聖地・瀬戸内市 オンライン文化振興オーナー育成プロジェクト」でもまた、名刀「山鳥毛」の特別公開を含む2度のオンラインツアーを実施し、大きな反響を得ました。

 取組で得られた成果と今後の展望について、瀬戸内市観光振興オーナー育成プロジェクト実行委員会の一員である株式会社日本旅行・岡山支店の小松由香莉氏に話を聞きました。

▼予想以上の反響を呼んだ2度のオンラインツアー

 瀬戸内市ではこれまでも、上杉謙信ゆかりの名刀「山鳥毛」を地域の「備前長船刀剣博物館」に所蔵するためにクラウドファンディングを実施するなど、刀剣ファンにさまざまな話題を提供してきました。

 そのため、今回のオンラインツアーについてもある程度の反響が見込まれていましたが、それでも「予想以上の反響に驚いています」と小松氏は振り返ります。

オンラインツアー案内&ガイドブック

「今回のプロジェクトでは、既にある程度の知識をお持ちの方々に対しての取組が主であり、新しい層へのアプローチは副次的な目的でした。それでも、コンテンツの実施やプロモーションの過程において、自然とターゲット層の裾野が広がっていき、結果的に瀬戸内市や備前刀の認知度の向上に繋げられたことを嬉しく思います」

 具体的には、備前長船刀剣博物館の学芸員の解説を交えた名刀「山鳥毛」の特別公開ガイドツアーや、刃文など刀剣の細部まで鑑賞できるVR技術を使った専用アプリの限定配信、Matterport(※AIや赤外線スキャンカメラにより、現実空間を3Dで再現するクラウドサービス)を活用したXRデジタルコンテンツで実際に博物館にいるかのような臨場感を演出するなど、さまざまな手法で参加者を楽しませた今回の取組。

 更にオンラインツアー終了後には、Twitterスペース(※公開制のトークルーム機能)を活用して、演者や瀬戸内市の担当者によるアフタートークも実施。計3度行なわれたこのアフタートークもまた、制作時の裏話を楽しみに、毎回10~50名のファンが集まるなど盛り上がりを見せました。

 その一方で、舞台裏では多くの苦労があったといいます。

アプリイメージ_刀剣鑑賞

アプリイメージ_Matterport

「例えば、字幕出しやカメラワークについてはまだまだ改善の余地がありますし、音声環境の安定化など、技術面で拙い部分が残ったことは大きな反省点です。今後、適正価格での販売を行い、事業として成立させるためにも、今回得られた課題をひとつずつクリアしていかなければなりません」(小松氏)

画面キャプチャ_ZOOMオンラインツアー

瀬戸内取材_006

 また、オンラインツアー終了後には、「知らなかった」、「知っていたら参加したのに残念」といった声も多く見られました。これも反響の大きさゆえでしょう。

「まだ情報をお届けすることができていない方も多くいらっしゃるのだなと感じました。今後のプロモーションの継続も重要だと考えています」(同)

▼適切なマネタイズによって事業化を目指す

 こうして大きな反響を得た理由の1つは、プロジェクトチームのTwitterアカウントをプロモーション方法の要に据えたことにあると小松氏は分析します。

「フォロワーの方々を中心に、『こういうツアーがありますよ!』、『このコンテンツがとてもよかった』など積極的に発信していただき、拡散に繋がりました。さらに、運営側としてはそうした声を反映しながら、実施内容のブラッシュアップやさらなる広報に繋げられた点もよかったと感じています」(同)

 つまり、刀剣ファンとSNSの親和性が拡散力を生み、そこで得られた反応が制作面へのフィードバックに繋がるという好循環。結果的にそれは、瀬戸内市の認知度アップにも貢献したことでしょう。

※本プロジェクトの公式Twitterアカウントはこちら>>>
https://twitter.com/reiwa_sword?s=20

画面キャプチャ_公式Twitter

 今回の取組を通して、「デジタル技術への理解が深まったことや、ノウハウが蓄積できたこと、更に実証による課題抽出ができたのは大きな成果でした」と語る小松氏。今回の経験は、今後の取組への糧となります。

「また、複数の事業者が連携して1つのプロジェクトを実施するという協業体制が構築できたことも、財産となりました。今後のそれぞれの活動において共創する場面も出てくると思いますし、実際、既に別のプロジェクトでご一緒している事業者様もあります。こうした自治体及び各事業者間の繋がりを持ちながら、参加者の皆様とも繋がりを持ち続けることで、新たな事業に取り組むことができればと考えています」(同)

 そして今後は、適切な料金設定とそれに見合うクオリティの維持を目標に掲げ、日本刀コンテンツの事業化を目指します。

「今回は一部有料にて実施したものの、あくまで実証実験という位置付けだったため、低めの料金設定でコンテンツを販売しました。しかし今後はプラスアルファの価値を付けながら適正価格を検討し、事業として自走できるようなマネタイズの計画を立てる必要があります。こうした課題への対応はオンラインの取組だけでは不十分な面もあるので、リアルと上手く融合させながら解決を図っていきたいと考えています」(同)

 大切なのは、成果と課題の双方と向き合いながら、更に有意義なコンテンツづくりを目指すこと。瀬戸内市の今後の取組にご注目ください。

瀬戸内取材_008

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最後に……
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