見出し画像

〈事業レポート〉北海道の魅力を仮想空間で体験! 新体験型バーチャルトラベル

 北海道の観光コンテンツをオンライン上で再現し、バーチャルツアーを通して海外の潜在顧客にアピールしようというのが、「北海道におけるインバウンド観光DX化実証事業 -オンラインツアーと仮想空間(VR)の融合による『新体験型バーチャルトラベル』創出」プロジェクトです。

 観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」の採択事業の一つであるこの取組は、アフターコロナを見据え、新たな北海道のファンを育むことを目的としています。代表団体の北海道バーチャルトラベル推進協議会に話を聞きました。

北海道バーチャルトラベル_002

北海道バーチャルトラベル_003

▼XR空間プラットフォーム「DOOR」の活用

 1月23日、計11本のツアーの最後の締めくくりとして実施された「VR White Snow Festival in Hokkaido」について、北海道バーチャルトラベル推進協議会の一員であるツナガル株式会社の森村俊夫氏は、次のように振り返ります。

「過去に私たちのバーチャルツアーに参加していただいた既存会員へのご案内と、訪日関心層に限定したターゲット広告を組み合わせることで、多くの参加者を集めることができました。また、今回は海外でも知名度の高い『さっぽろ雪まつり』をテーマにしたことも、関心を集めた理由の一つでしょう。過去に北海道を訪れたことがあるという人も多く見られました」

 今回の取組では、360°空間撮影VRカメラ「Matterport」(※マターポート。AI機能や独自の赤外線スキャンカメラにより、現実空間を3Dで再現するクラウドサービス)や、XR空間プラットフォーム「DOOR」(※誰でも簡単にXR空間を作成できるサービス)を利用。「VR White Snow Festival in Hokkaido」では後者の「DOOR」により、バーチャルプラットフォームを起点に、WebブラウザやVRデバイス等、参加者が思い思いのツールで視聴できる仕様が採用されました。

北海道バーチャルトラベル_004

※「VR White Snow Festival in Hokkaido」への訪問はこちらへ>>>

「想定していたターゲットはデジタルリテラシーが高い層だけではなかったため、できるだけ簡単に、かつプラットフォームによって参加者を限定しない仕様を検討しました。その点、アプリのダウンロードや会員登録が不要で、高スペックのパソコンや特別なデバイスがなくても参加できるプラットフォームということで、『DOOR』はうってつけであったと思います」(森村氏)

 実際、ツアー終了後にはVR初体験の参加者からも、「新しい体験だ」、「もっといろんな風景を見たい」といった声が多く聞かれたのだそう。

▼VR空間で生まれる新たなつながり

 企画段階で最も頭を悩ませたのは、VR空間とバーチャルツアーをただ融合させるだけでなく、「参加者にツアーをどう体験させるか」という点であったと森村氏は語ります。

「重視したのは、参加者同士でのコミュニケーションです。具体的には、パソコンやスマートフォンで体験するこの手のバーチャルツアーは、どうしても1人、または家族単位での参加が前提となりますが、今回の取組では世界中からアクセスする参加者が1つのVR空間の中に集まるので、そこで参加者同士がコミュニケーションしやすい場づくりを意識しました。最近では、VR空間上での参加者同士のマナーが問題になることが多いため、実施中はスタッフがVR空間内の見回りを行うなどの対策もとりました」(同)

北海道バーチャルトラベル_005

 一方、取組を終えて改めて見えてきた課題もあります。

「今回の企画は、VRデバイスで参加することでより面白さを体験できるものですが、まだまだVRデバイスの普及率は低く、大半がパソコンやスマートフォンでの参加でした。また、VR空間での操作に不慣れである人も多いことから、空間の面白さよりストレスが勝ってしまうケースもあったようです。今後はVR空間にいかに長く滞在してもらうかを考えていかなければならないでしょう」(同)

 それでも、あらかじめ狙っていた参加者同士のコミュニケーション促進という面では得るものも多かったようで、VR空間上ではさまざまな交流が見られました。

「私自身もVR空間上でシンガポールの人から、『あなたはどこに住んでいるの?』とか、『あなたは札幌に行ったことがある?』などと話しかけられました。こうして遠く離れた場所にいる参加者同士が、1つのテーマで交流し新しいつながりが生まれるのは、やはり新鮮な体験だと思います」(同)

「地域の人と参加者、あるいは参加者同士での新しい出会いや交流を生むことで、来訪意欲を向上させることに繋がった」と手応えを口にする森村氏。今回の成果を生かして、北海道から今後どのようなバーチャルツアーが発信されるのか、ますます楽しみです。

ラスト画像_平取町立二風谷博物館

※写真はVR空間として再現した平取町立二風谷博物館。
回遊はこちらから>>>
https://ssl.wise-p.co.jp/nibutani/index-en.html

▼関連記事

最後に……
「観光」×「DX」で実現する新しい観光コンテンツの情報発信をTwitterでも日々つぶやいています。是非チェック&フォローをお願いします。 【Twitter】https://twitter.com/digitalxproject


みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!