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〈事業レポート〉南知多エリアの魅力と“島時間”をオンラインで体験!

 風光明媚なロケーションと海の幸に恵まれた愛知県・知多半島。その南端から日間賀島、篠島を含めた南知多エリアにおいて、地域の魅力を伝えるオンラインツアーが実施されました。

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 これは観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「南知多・とっておきの“島時間”で来訪意欲を増進するオンライン活用事業」の取組です。

 去る2022年1月22日、「新年の風物詩『師崎左義長祭り』をお家から楽しむオンラインツアー」の収録現場にお邪魔して、取組の模様を「南知多“島時間”オンラインツアー事業コンソーシアム」の皆さんにお聞きしました。

▼“判じ絵”で今年の目標を表現

 知多半島先端の町・師崎で、実に450年を超える歴史を持つ新春の風物詩「左義長祭り」。無病息災や大漁を願って描かれた大のぼりを、正月飾りやお札と一緒に焼き尽くす迫力の行事は、観光コンテンツの1つとしても親しまれてきました。

左義長祭り

 今回の「新年の風物詩『師崎左義長祭り』をお家から楽しむオンラインツアー」では、師崎周辺の美しい風景や歴史、文化を伝えるとともに、のぼり制作を体験するプログラムが組まれました。

 左義長祭りで用いられるのぼりは、「判じ絵」と呼ばれるイラスト文字で願いを記すのが大きな特徴です。例えば上から順に、大小の波(大波小波)、海苔(乗り)、虎(超)、絵(え)、トランプの3と7(皆)、手のひらに点々(で)、合唱(歌う)、鯛(たい)、漁(漁)、竹の節に点々(ぶし=節)のイラストが手描きされ、「大波小波乗り越え、皆で歌う大漁節」と願をかけるのです。

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南知多取材_005

 参加者はオンラインでレクチャーを受けながら、事前に送付されたミニのぼりを組み立て、今年の願いを込めた判じ絵を描きます。そして、それぞれ苦戦しながらものぼりを完成させた後は、お披露目タイム。参加者の1人が「世界一周がしたい」と壮大な目標を表した判じ絵を掲げると、スタジオ内から思わず拍手が起こりました。

 今年はコロナ禍の影響から、各奉納町の左義長制作・奉納が中止になるなど、縮小を強いられた左義長祭り。しかし、こうしたオンラインを活用してのイベントを盛り込み、例年とはまた異なる新しい体験を参加者と共有し、盛り上がりを見せました。

 参加者の皆さんにとっては、モニター越しに見える南知多の美しい風景とともに、現地への来訪意欲を高めるきっかけになったことでしょう。

▼トライ&エラーを重ねてツアーのクオリティをアップ

「雨天の際のプランも別途用意していましたが、まずはとにかく好天に恵まれ、ほっとしています。また、のぼりの制作については、皆さんもっと手こずられるかと思っていたのですが、予想以上にお上手で驚きました。盛り上がってよかったです」

 そう取組を振り返るのは、一般社団法人知多半島観光事業協会のメンバーであり、南知多町観光協会の事務局長を務める久世守氏です。

 ここまでに実施したツアーは全10本。エビやタコ、シラス、ふぐ等地域の名産を題材にしたツアーはいずれも好評を博しましたが、取組の序盤では想定外のトラブルもありました。

「たとえば篠島の獲れたてシラスをご賞味いただくツアーでは、参加費を2,400円に設定していました。篠島のシラスは本来、100グラムで300円する高級品なので、この価格設定は喜んでいただけるだろうと考えていたのですが、本番当日、品物だけ受け取ってツアーに参加しない方が複数見られました。これでは意味がありません。価格を安くするだけでは逆効果なのだと思い知らされましたね」(久世氏)

オンラインツアータイトルページ4回分

 こうした経験を活かして、その後のツアーでは価格設定だけでなく、体験内容の魅力をより強くアピールするなど、さまざまな施策を打ったという久世氏。今回の盛り上がりも、こうしたトライ&エラーの賜物と言えそうです。

「高齢者の多い地域なので、どうしても最初はデジタルを使った取組がなかなか理解されませんでしたが、丁寧な説明と練習を繰り返してこうしたオンラインツアーを実現することができました。シニア層だからデジタルは無理だと決めつけてはいけないなと、改めて実感しています。スマホもパソコンも使えない方々でも、こうした取組は可能なんですよ」(同)

 実際、この日のスタジオやロケ現場でも、地域のシニア層が楽しそうに撮影に取り組んでいる様子が窺えました。今回の取組は全10本でひとまずシリーズを終えますが、「皆さん、きっとすぐにまた『やりたい』とおっしゃると思いますよ」と久世氏は笑います。

 オンラインという新たな手法を得て、南知多エリアがこれからどのような取組を行っていくのか楽しみです。

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