〈事業レポート〉日本のものづくりを海外へ発信するローカルクラフトツーリズム
見出し画像

〈事業レポート〉日本のものづくりを海外へ発信するローカルクラフトツーリズム

観光DX推進プロジェクト

 日本の伝統的なものづくり産地を、地域の魅力と合わせて海外に発信しようと取り組んでいるのが、観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「LOCAL CRAFT JAPAN - 地域を立体的にPRするリアル/オンライン連動型クラフトイベントからのインバウンド誘客スキームの確立」事業です。

 具体的には、国内各地の工房と海外をオンラインでつなぎ、伝統工芸に関する知識や、職人との交流の機会を提供するワークショップを通し、インバウンド需要の喚起を目指します。LOCAL CRAFT JAPAN実行委員会に、取組の手応えをお聞きしました。

▼工房の臨場感をオンラインで伝える触覚VR

 今回、オンラインで海外のワークショップ会場とつながったのは、長野県塩尻市の木曽漆器、新潟県佐渡市の無名異焼、奈良県川上村の吉野杉の木工、計3つの工房です。実際に作業する職人の様子をリアルタイムで伝えることで、日本のものづくりへのさらなる関心と、来訪意欲の向上を目指すのが今回の事業の目的でした。

LOCALCRAFTJAPAN取材_002

LOCALCRAFTJAPAN取材_003

「国内3つの地域で実施したオンラインワークショップでは、3カ国で延べ54名の方にご参加いただきました。特に、工房の臨場感を伝える触覚VR技術を使ったワークショップには33名にご参加いただき、日本の伝統文化や歴史に関心が高い方をワークショップに集客できたと感じています」(LOCAL CRAFT JAPAN実行委員会の共同代表・澤田哲也氏)

 技術面で、名古屋工業大学触覚学研究室のサポートを受けたという今回の取組。とりわけ触覚VR技術は今回の大きな目玉の一つで、特殊なチップを用いて音や振動を表現するものです。そんな話題性も手伝ってか、香港をはじめとする3つの海外会場では、いずれも事前に参加枠が全て埋まる盛況ぶりでした。

会議風景&スマホ

 しかし、事前の準備には予期せぬ苦労も多かったと澤田氏は振り返ります。

「触覚共有のために利用するデバイスを、海外の3会場へ送付する際からしてまず、法律によって輸出制限を受けたり、税関で止まってしまったりする可能性があり、気を揉みました。また、事前の動作確認もコロナの影響で現地に事務局スタッフが赴くことができず、リモートで行わなければなりませんでした。結果的には、機材ごとに輸送方法を検討し、事前にメーカーに趣旨の説明と輸出の確認と承認を受けるなど、その都度手立てを講じてどうにか事なきを得てほっとしています」

▼日本のものづくり文化をコンテンツとして育てる

 大量生産、大量消費の時代も今は昔。そこで今回の取組が、「“100年先のものづくり”を考えるきっかけになれば」と語る澤田氏。ワークショップを通して得られた反応は、その目的を十分に果たすものでした。

「参加者の皆さんが、非常に集中して参加してくれていたのが印象的です。特に触覚・振動を共有するシーンでは、これまでにない体験に驚く表情や、状況をスマホで撮影する方も見られました。また、プログラム後に現地サイドからはさまざまな質問があり、興味を持ってくれているのが伝わってきました」(澤田氏)

 実際、ワークショップ終了後には「触覚デバイスのおかげで、現地にいるような感覚になりました」、「職人さんの感覚を肌で感じることができ、興味深かったです」といった感想が複数届いたのだそう。

LOCALCRAFTJAPAN取材_005

 一方、ワークショップに参加した職人側からしても、今回の取組は新鮮な体験だったはず。澤田氏によれば、「自分たちの感覚が海外に伝わっていること、また、それを通じてたくさんの質問が返ってきたことを喜んでいました」と、こちらも得るものの多い機会であった様子が窺えます。

 なお、オンライン上で各工房を訪ねるツアーについても、実施後のアンケートから「他者への推奨度」、「臨場感」、「オンラインイベントで出会った職人への親密度」の3つのスコアで高い評価が得られました。これは日本のものづくり文化が、対インバウンドにおいて価値あるコンテンツになり得ることを示しています。

オンラインクラフトツアー_新潟

「とりわけ触覚共有型ワークショップはこれまで例のなかったものなので、どのような成果、反応が得られるか未知数でしたが、こうした結果が得られて嬉しく思っています。会場として使用させていただいた3つのセレクトショップからも、継続的な開催をリクエストされているので、引き続き自信を持って、海外のチャネルや産地とのネットワークを拡げていきたいと考えています」(同)

 一方的に情報を伝える従来型のメディアと異なり、デジタル技術の活用でさらなる付加価値とインタラクティブな体験を生み出すことに成功した今回の実証事業。インバウンド需要を高めるだけでなく、職人のやりがいや誇りの醸成にも繋がる、画期的な取組と言えるでしょう。

※「LOCAL CRAFT JAPAN」の公式ウェブサイトはこちら>>>https://localcraftjapan.com/

ローカルクラフト_実証風景_触覚VRinシンガポール

▼関連記事

最後に……
「観光」×「DX」で実現する新しい観光コンテンツの情報発信をTwitterでも日々つぶやいています。是非チェック&フォローをお願いします。 【Twitter】https://twitter.com/digitalxproject



みんなにも読んでほしいですか?

オススメした記事はフォロワーのタイムラインに表示されます!
観光DX推進プロジェクト
観光庁が推進する「観光DX」の公式アカウントです。 観光サービスの変革及び観光需要の創出を目指し、産学官一体となって取り組むプロジェクト。取組の狙いや最新情報を分かりやすくお伝えします。我が国の観光に新たな体験価値を!https://www.mlit.go.jp/kankocho