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北海道の魅力をオンラインで満喫できる“新体験型バーチャルトラベル”とは

 北海道は日本有数のインバウンド観光地として賑わう地域です。しかし、コロナ禍によりインバウンドはおろか国内需要すらも停滞する昨今、あらためて地域が持つ魅力を広く発信するために、オンラインによるバーチャルツアーが計画されています。

 それが今回、観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「北海道におけるインバウンド観光DX化実証事業 -オンラインツアーと仮想空間(VR)の融合による『新体験型バーチャルトラベル』創出」プロジェクトです。

 北海道バーチャルトラベル推進協議会の一員であるツナガル株式会社の皆さんに話を聞きました。

▼北海道各地の観光スポットをバーチャル空間に再現

「今回の取組では地域の観光事業者の方と連携して、北海道が持つ観光コンテンツをオンライン上で再構築するバーチャルトラベルプラットフォーム、『LIVE Travelers(仮称)』を立ち上げる予定です。あくまでも現時点での計画に沿ってお話ししますと、バーチャルツアーを通しての体験の提供、観光ガイドによる案内、そしてVR空間の構築という3つの要素で構想するものです。このうち体験の提供については『LiveU』という低遅延高画質のライブストリーミングの技術を用いて撮影し、これを参加者の方にはプラットフォームを介して体験していただくことになります」(ツナガル株式会社・竹林謙氏)

 竹林氏によれば、このプラットフォームを介して配信される映像は、YouTubeやFacebookなど複数のツールでアウトプットされるため、参加者はそれぞれの希望に合わせたスタイルでの視聴が可能になります。つまり、YouTubeであればチャット機能を、Facebookであればコメント機能を使って、参加者とのコミュニケーションが成立するわけです。

 北海道バーチャルトラベル推進協議会では今後、バーチャルツアーガイドの育成を兼ねて、実証実験を重ねていく予定。道内在住の外国人留学生等も積極的に起用することも検討しているのだそうです。

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▼DXで観光をサスティナブルな産業に

 これからコンテンツ制作は佳境に差し掛かりますが、ネックの1つは配信時の電波状況です。

「北海道は電波状況が不安定なエリアが多いため、とくに湖や海の上などでは、LiveUの技術が物を言うことになります。スマートフォンやドローン等の通信機能がセットになったデバイスも補完的に活用しながら、できるだけ安定感のある映像配信を目指します」(同・森村俊夫氏)

網走カヤック

 また、こうした取組により、コロナ禍による売上減に苛まれる観光事業者が、新たな収益の柱を確立することも目的の1つです。

「それまで右肩上がりであったインバウンド需要が、コロナの蔓延で一気に低迷し、観光事業者が軒並み苦しめられる事態に陥っています。そこでどのような対策が打てるかというと、こうした自由に旅ができない状況下であっても、旅行や観光の体験は成立すると理解していただくことであり、結果として観光産業をサスティナブルなものに引き上げることが大切だと考えています」(森村氏)

 そのためにも今回の「LIVE Travelers(仮称)」では、リアルに負けない体験をいかに表現するかが大きなカギを握ります。

「これまで観光客の皆さんが現地で体験していたコンテンツを、いかにオンライン上にコンバージョン(変換)するかというのは大きな問題です。たとえば冬の北海道で温かいラーメンを食べる醍醐味をオンラインで再現することは、やはり困難と言わざるを得ません。そこでリアルをそのまま再現するのではなく、ネットならではの楽しみ方は何か、そしてツールや形態の変化によって新たな楽しみをどう生み出すかが、目下の課題と言えます」(同・ハレ・ローラン氏)

 目的はバーチャルツアーを販売することではなく、北海道のファンを育むこと。「オンラインを通して作り上げたコミュニティを、DMP(データマネジメントプラットフォーム)として活用したり、ECのハブと機能させることができれば理想的です」と竹林氏が言うように、今回の取組はDX時代の新たな北海道観光への第一歩なのです。


最後に…
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注:本掲載内容は取材時のもの

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