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来訪意欲を増進させる12の観光DX事業

 オンライン技術の発展は、各地の観光産業を大きくアップデートさせる可能性を秘めています。そこで観光庁では観光業界のDX化を推し進めるために、先だって観光DXに取り組む事業を公募しました。別掲の「これまでにない観光コンテンツやエリアマネジメントを創出・実現するデジタル技術の開発事業」の5事業に加えて、「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」(以下「活用事業」という。)として、12事業を選定しています。

 コロナ禍で停滞を余儀なくされている観光業界ですが、だからこそDXによる新しい観光コンテンツ、新しい観光スタイルの実現が期待されます。ここでは、オンライン技術の活用によって地域の特色を存分に生かした、12の活用事業の概要をご紹介します。

■来訪意欲を増進させる12のオンライン技術活用事業

 地域には多種多彩な観光資源が存在します。寺社仏閣などの文化財や自然遺産、あるいは伝統工芸や伝統行事、食文化など、それらはいずれもその土地でしか体感できない、地域固有の資源です。

 しかし、それらの中には十分な知名度を持たず、地域に埋もれてしまっているものもあります。今回の活用事業は、観光資源とオンライン技術とを組み合わせることによって、観光需要や消費意欲を創出し、来訪意欲の増進につなげようという取組です。

 去る6月1日付で選定された「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」は次の通りです。

1.オンライン技術を活用した「日本全国の美味しい体験」プラットフォーム構築による来訪意欲促進実証事業

ぐるなび会員及び観光情報サイト「ぐるたび」を活用したプラットフォームを構築。SNSや動画チャンネルによるファンの囲い込みや、地域の産品のオンライン体験会の開催、更に産品の販売などを行うことで地域のモチベーションと活性化アップを図ります。

2.Local Craft JAPAN - 地域を立体的にPRするリアル/オンライン連動型クラフトイベントからのインバウンド誘客スキームの確立

オンラインでのクラフトマーケットや、現地カフェとのタイアップイベント、あるいはVR/アバター技術を利用して伝統工芸に触れられるティザーイベントを実施するなど、地域の伝統工芸を本物志向のインバウンド層に対して発信。また、受け入れ体制に不安のある地域でのガイド育成や、来訪意欲の増進に繋げる魅力的な商品開発を行います。

3.北海道におけるインバウンド観光DX化実証事業 -オンラインツアーと仮想空間(VR)の融合による「新体験型バーチャルトラベル」創出

主にインバウンド客を対象に、北海道が持つ雄大な自然(湖・秘境絶景・バードウォッチング)や世界に発信する文化(アイヌ文化・工芸)を体験できる、バーチャルトラベルプラットフォームの構築、及びオンラインツアーを実施。また、道内関係者間のスキルアップやナレッジ開発のために、道内の留学生も対象にしながら観光人材の育成を行うなど、産学連携での取組を推進します。

4.青森の夏・秋・冬の多彩な魅力を発信・交流するオンライン体験イベント事業

季節ごとに表情を変える多彩な自然風景(奥入瀬渓流、十和田湖、八甲田山ほか)や、青森ねぶた祭などの祭文化、食の魅力をアピールするために、オンラインイベントを実施。合わせて産品の直接販売を行うECサイトを構築することにより、来訪意欲の増進を図ります。

5.浅草芸者とめぐる東京下町とお座敷遊び体験オンラインツアー

浅草芸者や伝統工芸士など、古くから日本の下町に根付いた観光資源を広く発信するため、オンラインツアーやデジタルガイド誌の多言語制作を実施。また、敷居が高いと思われがちな花街文化を身近に感じてもらうことで、来訪意欲の増進に繋げます。

6.魅力再発見PROJECT たかやまくえすと~そして今くるさ~

岐阜県高山市の街を仮想空間上に再現し、地域の伝統や文化を伝える「高山ロールプレイングゲーム」を開発。空間内でのEC機能により、アイテムの課金や物販販売、ホテルへの来訪予約機能等を可能にすることで、高山市への誘客を目指します。

7.南知多・とっておきの“島時間”で来訪意欲を増進するオンライン活用事業

知多半島の自然、歴史、文化を生かして、中長期型滞在旅行を促進する「島時間リモート体験ツアー」を実施。ワークショップによってコンテンツ造成をしながら、多様な人材育成も行います。更には楽天と連携して情報発信を行うとともに、FacebookやSpoTribe(楽天)を活用した参加者のコミュニティ形成も実施します。

8.高度経済成長の象徴・大阪「味園ビル」3DVR化プロジェクト

昭和の高度経済成長を象徴する「味園ビル」を観光資源として、現在は見ることのできない最盛期の様子をオンラインで再現。当時を知る世代から現在の若者世代まで、幅広い層にバーチャル空間上で大阪のディープな魅力を発信することで、大阪観光の活性化を目指します。

9.現代版『里見八犬伝』 倉吉のまちを巡るバーチャルオンラインツアー

 ポップカルチャーを活用したまちづくりを推進している倉吉市が、歴史長編小説『里見八犬伝』を倉吉市の歴史をモチーフとした現代版『里見八犬伝』として立ち上げ、ストーリーやバーチャルキャラクター制作、デジタルスタンプラリー、オンラインツアー等の実施によって、作品の世界観とともに倉吉の魅力を国内外の若い世代を中心に発信します。

10.日本刀の聖地・瀬戸内市 オンライン文化振興オーナー育成プロジェクト

20~40代女性をメインターゲットに、日本刀の聖地として知られる岡山県瀬戸内市の魅力を、VRやARを活用してオンラインで発信。日本刀の鑑賞や職人による製造工程の見学を通して、日本刀文化の(オーナー)育成に繋げます。

11.愛媛クラフトビールツーリズム

Zoom等のアプリや360°VRライブ配信技術を活用し、県内のクラフトビールの醸造所のオンラインツアーを実施。参加者にはあらかじめクラフトビールと愛媛の食材を送付し、現地とのコミュニケーションを図りながら、なぜ愛媛県なのか、なぜクラフトビールなのかを発信していくことで、愛媛県の交流人口拡大を目指します。

12.~オンライン分身ロボット「OriHime(オリヒメ)」で旅をあきらめない~高知バリアフリーアドベンチャーツアープロジェクト

バリアフリー観光を推進している高知県では、障害者でも体験できるアドベンチャーツーリズムのプログラムを展開。分身ロボットOriHimeを活用してプログラムに参加し、まるでその場にいるような臨場感を演出する点が特徴で、誰でも安全安心な観光を実現します。

注:いずれも内容は申請時のもの

すでに「これまでにない観光コンテンツやエリアマネジメントを創出・実現するデジタル技術の開発事業」の詳細レポートの展開をスタートしていますが、今回ご紹介した12の活用事業についても順次、詳細レポートを展開していく予定です。地方公共団体や観光事業者の方々にとって、きっと様々な気づきとヒントに繋がるでしょう。各事業の詳報にご期待ください。

資料②_活用事業とは

最後に…
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