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「全国観るなび」と「全国観光情報データベース」を刷新して、新たなデジタルプラットフォームを構築

 全国約700 の地方公共団体、観光協会、観光関連事業者等で構成される日本観光振興協会。同協会では「全国観光情報データベース」と、国内約12万件の地域観光情報を網羅するポータルサイト「全国観るなび」を中心に、地域の観光情報を集約し、観光関連事業者や観光客への効果的な発信・提供による地域観光の活性化を目指してデジタルプラットフォームの運営をしています。

 しかし、観光情報を登録・更新する仕様や入力方式が統一されていないため、情報を更新する事業者側の負担が課題とされてきました。

 そこで日本観光振興デジタルプラットフォーム推進コンソーシアムでは、「全国観光情報データベース」の改善・再構築と「全国観るなび」の刷新により、各地の観光情報をより効率的に管理し、新たなデジタルプラットフォームの提供を目指して取組を進めています。

■事業の概要

 今回の取組について、コンソーシアムの中心を担う日本観光振興協会に話を聞きました。

■コロナ禍以前からの課題に立ち返る

 日本観光振興協会の内山尚志氏は次のように語ります。

 「コロナ禍が始まってはや3年が経ちますが、収束するまでには、もうしばらく時間がかかりそうです。しかし、コロナ禍による収益減もさることながら、観光業界ではそれ以前から様々な課題を抱えていた事実を忘れてはいけません。インバウンド需要に沸いた半面、収益性の低さや人材の流出など多くの問題に直面していたことを踏まえれば、インバウンド需要が戻ったとしても、構造的な課題を解決しなければ先行きを見通すことはできないでしょう」

 そこで鍵を握るのが、デジタル技術の活用であると内山氏は強調します。 

 「観光業界には業界全体で機能するデジタルプラットフォームが存在していませんでした。これは個々の事業者単位で実現できるものではなく、また、技術やノウハウの不足も高いハードルになります。そこで日本観光振興協会が音頭を取る形でコンソーシアムを組み、プラットフォームの機能を整備しようと考えたことが、プロジェクトの始まりでした」(内山氏)

 以前から観光情報サイト「全国観るなび」のほか、宿泊データを軸に観光関連データを提供する「観光予報プラットフォーム」を運営してきた日本観光振興協会。デジタルの活用によって業界横断的なデジタルプラットフォームを構築するために、これらのサービスを活かしながら、抜本的な仕様の改善と再構築を行おうというのが、今回のプロジェクトの目的です。

画像:旅のポータルサイト「全国観るなび」のトップページ画面

■観光事業者にも旅行者にも使いやすいサービスに

 「我々が運営してきた『全国観光情報データベース』は、全国約12万件の観光情報を網羅していますが、事業者側の視点に立った時、本当に使いやすい仕様になっているのかという課題がありました。具体的には、情報入力のインターフェース等に改善の余地があると考えていました」(同)

 たとえば、地域の事業者に情報提供を呼びかけても、UI(ユーザーインターフェース。サービスとユーザーの接点を意味し、転じて外面的な仕様や設計、デザインを意味することが多い)の使い勝手が悪ければ活用は広がらず、幅広く情報を集めることはできません。また、イベント情報などの即時性が求められるデータが入力された際、迅速に公開、共有されなければ、鮮度の高い情報を発信することはできません。 

 そこでシステムを再構築することで、全国から観光情報を集めやすく、スピーディーに発信できる仕組み作りに取り組んでいます。

 また、サイトを訪れる旅行者にとっても、欲しい情報がわかりやすく入手できる設計が求められ、情報を発信する事業者、情報を受け取るユーザーの双方にとって有用なAPI(アプリケーションプログラミングインタフェース。ウェブ上のサービスや情報を繋ぐ仕組みのこと)の開発が進められています。

画像:現状のシステム構成イメージと課題
画像:事業イメージ
画像:「全国観光情報データベース」におけるデータ仕様統一とAPI連携イメージ

 「システム開発は、予算と人手を費やせば実現可能なものです。一方で、ただ高価なシステムを作っておしまいでは意味がありません。各地域の事業者に入念なリサーチを重ねて本当の意味で使えるデータベース作りを徹底し、持続的に使ってもらえるよう、観光事業者への啓発を続けていかなければなりません」
 
 システムが理想的に整備されれば、きっと全国の観光事業者にとっても旅行者にとっても有意義なサービスになるはずだと、内山氏は力強く語ります。
 
 「この取組によって観光業全体の収益性が向上し、流出した人材が再び帰ってくるような産業として盛り上げていきたいですね」
 
 今後のさらなるインバウンド市場の復興を見据え、コンソーシアムは万全の体制で取組を進めています。

※2023年1月末にリリースされた新Webサイト「JAPAN 47 GO(ジャパンヨンナナゴー)」は下記URLからご確認いただけます!

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本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
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