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クラフトビールをきっかけに! 愛媛県の観光需要の創出を目指す

 日本各地で“地ビール”ブームが巻き起こったのは今から四半世紀以上も前のこと。当初は地域のお土産品として話題を集めた地ビールは、時を経て「クラフトビール」と呼称を変え、新たな市場と産業を切り開こうとしています。

 そこで、愛媛県の素材を生かしたオリジナルのクラフトビールを軸に観光客にアプローチしようというのが、観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「愛媛クラフトビールツーリズム」事業です。

 クラフトビールとブルワリー(醸造所)を観光コンテンツとして活用するこの取組について、「ERTC(愛媛・地域創生インバウンドコンソーシアム)」の皆さんに話を聞きました。

▼クラフトビールの聖地・ポートランドがヒントに

 クラフトビールとは小規模生産体制で醸造されるビールを意味し、果物や野菜、ハーブ、スパイスなど多種多様な副原料を用いることで、幅広いバリエーションを持つのが特徴です。見方を変えれば、地域の産品を活用してその土地ならではのビールをつくることが可能であり、「愛媛クラフトビールツーリズム」はまさにこの点に着目した取組と言えます。

「愛媛県といえば、何といってもみかんのイメージが強いと思いますが、ほかにも伯方島の『伯方の塩』を副原料とするビールや、県内の酒蔵と連携して日本酒用の酵母を使って仕込んだビールなど、さまざまなアイデアが挙がっています。ホップ(※ビールの苦味と香りの元になるつる性多年草)の栽培を試みているブルワリーも既に存在していますし、この地域でしか味わえないクラフトビールをアピールすることで、他府県からの来訪意欲を増進することは十分に可能であると考えています」(株式会社エイチ・アイ・エス 法人旅行営業本部・鈴木淳氏)

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 近年、UターンやIターンによって若い世代がブルワリーを開設する例が増えているという愛媛県。こうしたクラフトビールによる地域活性化については、実はアメリカにお手本があります。

「オレゴン州のポートランドは、クラフトビールの聖地として世界的に有名です。人口65万人程度の街に70以上のブルワリーが存在し、ビールを目当てに世界中から多くの観光客が訪れています。これはクラフトビールが新たな観光需要の源泉になり得ることを意味しており、ぜひ今回の取組を通して、愛媛を日本のポートランドとして盛り上げていきたいですね」(鈴木氏)

05.愛媛ブルワリー様イメージ写真

▼段ボール製VRスコープで360°映像を手軽に体験

 今回のプロジェクトでは、県内3つのブルワリーと協業し、クラフトビールと地域の観光資源を組み合わせたオンラインツアーを実施予定です。

「VR技術を用いた3つのツアーを用意し、11月から順次、実施する予定です。1回目は愛媛の歴史や文化を感じながら、ビール醸造の現場を体験していただくツアーを。2回目は愛媛県今治市から広島県尾道市までの島々を結ぶ『しまなみ海道』を、ビールを楽しみながら散策していただくツアーを。そして3回目は、みかん畑の映像を見学しながらビールを楽しんでいただくツアーを、それぞれ準備しています」(同)

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 いずれのツアーも、それぞれのコンセプトに合わせて醸造されたオリジナルビールとおつまみを事前に配送。参加者はVR映像を視聴しながら、地域特有の味覚を楽しむことができます。

 また、360°映像を視聴するに際し、簡易型VRスコープ「ハコスコ」を採用しているのもこのツアーの大きな特徴です。

「『ハコスコ』は、段ボール製の本体にお手持ちのスマートフォンをセットして使う、手軽なVRスコープです。参加者の皆さんにはこの『ハコスコ』を事前に配布し、360°映像とZoomによる双方向のライブコミュニケーション機能を組み合わせることで、愛媛の自然やビール醸造の様子をリアルに体験していただければと思っています」(同)

ERTC_005(ゴーグル画像修正)

 このプロジェクトを通じてクラフトビール目当ての来訪者が増えれば、「結果として、それに伴う飲食需要もトータルで拡大するはず」と、相乗効果を期待する鈴木氏。更にはクラフトビールを起点とするツーリズムが定着すれば、アフターコロナのインバウンド需要も期待できるでしょう。

 11月のツアースタートに向け、現地での映像制作、そしてオリジナルビールの醸造は間もなく佳境に差し掛かります。参加者でなければ味わえないクラフトビールは、きっと今回の取組の大きな目玉となるに違いありません。

11.【最終】ERTC_事業概要説明書

最後に……
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