下呂温泉から市内の周遊を促進! データを活用した観光マーケティングの実践
日本三名泉の1つとして、高い知名度を誇る下呂温泉。コロナ禍により、一時はこのエリアの観光産業も打撃を受けましたが、現在は令和元年度比で約90%と順調に客足を取り戻しつつあります。
しかし、下呂温泉界隈は賑わいを見せていても、下呂市内に点在する他の観光資源の認知度は低く、二次交通手段が少ないことから、広域への誘客が進まないという課題を抱えています。
■事業の概要
そこで「下呂未来創造プロジェクト」では、首都圏からの集客を図るためにアプリによる情報発信、そしてWi-Fiパケットセンサを用いた市内の人流解析などを並行して行うことで、3年後の安定した経営基盤の構築を目指します。
コンソーシアムの一角、一般社団法人・下呂温泉観光協会の瀧康洋会長に話を聞きました。
■観光客データを多角的に解析
下呂温泉を起点とした周遊観光の確立を目指し、下呂市では2016年から「下呂市DMO」を立ち上げて取組を進めてきました。昨年5月の時点で「コロナ前のおよそ9割まで客足は戻っている」と瀧氏が語るのも、そうした成果によるものでしょう。
「これは地域マーケティングの賜物で、デジタル技術の活用、そしてデータを見える化することでの戦略設計の大切さを再認識しています。たとえば国内外からの宿泊者数の推移や、観光客の出発地の内訳、移動手段など、過去データを様々な角度から分析することで、下呂市の観光の実態を把握しています。また、観光客の流入データだけでなく、観光協会のホームページのアクセス数や動向調査なども貴重な資料で、外部環境や様々なデータを活用し現状把握をした上で、マーケティングの施策を検討して参りました」(瀧氏)
宿泊者データ等の可視化により、コロナ禍によってインバウンド需要や団体客は激減したものの、個人旅行の需要は回復が早いことがわかり、下呂温泉観光協会ではマーケティングに注力するなどの工夫をしてきました。
「大切なのは宿泊数の推移を見ながら、ニーズの少ない時期や曜日を見極め、ウィークポイントをどう解消するかです。例えば客足の少ない時期は価格を下げるなどの手を打つことで、宿泊数を増やし、尚且つニーズを平準化することが可能になります」(同)
■宿泊客の動態データをマーケティング戦略の材料に
今回の取組は、ジョルダン社の経路検索アプリ「乗換案内」をベースに地域情報や周遊案内、スタンプラリー機能を実装するなどして、観光客の市内周遊をサポート。更に市内の観光スポットにWi-Fiパケットセンサを配し、具体的な人流データの収集を進めています。
※「乗換案内スマートシティモード(下呂温泉モード)」のダウンロード及び使い方については、下呂温泉観光協会公式サイトにてご案内しています。
地域単位でのDX推進では、デジタルリテラシーや体制の面で事業者ごとの足並みが揃わないという問題が発生しがちですが、下呂市では各事業者が効果的に連携し、取組を進めています。
その秘訣について、瀧氏は「収集したデータがどう活かされ、地域にどのようなメリットを与えてくれるのかということを、丁寧に説明してきたことが大きいでしょう。取組によって得られた効果を都度報告することで、各事業者さんも宿泊数等のデータを快く提供してくれますし、Wi-Fiパケットセンサの設置など事業に対する協力体制が構築されているわけです」と語ります。
多数のデータを集めるためには、もちろん集客が必要です。コンソーシアムでは、インフルエンサーを活用したマーケティングも実施し、下呂温泉の泉質の美容効果を広くアピールするなど、認知の向上を進めています。また、下呂温泉観光協会では独自にデジタルとアナログを融合させたプロモーションを実施しています。
※インフルエンサーmizukiosakoさんによるTikTokでの紹介動画は、下記URLよりご覧いただけます!
2022年10月からスタートしたマーケティング施策は、2023年1月末までを予定。この期間に集められたデータと、先に収集された様々なデータを合わせて分析することで、次のマーケティング等の施策立案の材料が得られます。
「これまでは宿泊データを中心にデータを分析していましたが、今回の実証実験で、宿泊客が市内をどう巡り、どんなスポットが好まれているのかが数字で確認できます。我々としても非常に楽しみですね」
狙うのは、「ヒト・モノ・カネ」の循環の更なる促進。そのために、観光地として一層の魅力度向上を目指します。
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こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
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