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Webサイトを大幅に刷新し、マウンテンリゾートとしてリブランディングを促進

 日本有数のスノーリゾートとして、確固たる地位を築いている長野県・志賀高原エリア。ところが、スキー客数は過去20年で4割減、さらに長年に渡って集客を旅行代理店やOTA(オンライン旅行サイト)に依存していたため、客単価の向上や収益率の改善等が課題とされていました。
 
 そこで志賀高原観光DX推進コンソーシアムでは現在、志賀高原観光協会の公式Webサイトを軸に、直販サイトの構築や観光情報プラットフォームの改善を通して、域内経済の活性化に取り組んでいます。

■事業の概要

 志賀高原観光DX推進コンソーシアムの皆さんに、取組の概要をお聞きしました。

■バブル崩壊の傷跡を引きずる志賀高原エリア

 「全国的な背景として、スキー及びスノーボード人口は、顕著に減少を続けているのが実情です。そうした中で、インバウンドの誘客は1つのテーマではありますが、ご存知のようにコロナ禍によってここ2~3年は途絶えてしまっています。それが過去20年で4割減というデータに表れているわけです」

 そう語るのは、一般財団法人・長野経済研究所の大沼田久暁氏です。

画像:(左)志賀高原への観光地延利用者数及び観光消費額等の推移/
(右)志賀高原へのスキー場利用者数の推移

 現状について、志賀高原観光協会の野口晃一氏は次のように捕捉します。
 
 「こうした集客の下落トレンドは、バブル経済崩壊や長野オリンピックの直後から始まっており、ピーク時から60%落ち込んだ状況から今も回復しきれていない状況です。これはスキー人口の減少だけでなく、時代の流れとともにレジャーが多様化し、画一的な大衆文化であった冬季レジャーとしてのスキーの需要が薄れていることが原因に挙げられます」
 
 「そもそも志賀高原エリアでは、地域の特性からインバウンド需要で減少値を補完はできない」と指摘する野口氏。そのため、スキー客の減少に伴い、経営難からゲレンデ数や宿泊施設数も徐々に減っていくという悪循環に陥ってしまいました。
 
 それでも今も18本のゲレンデ数を擁し、リフト・ゴンドラ数も50本というスケールを誇る志賀高原エリア。また、本州ではトップクラスの高標高で、雪質に恵まれていることはストロングポイントとなります。
 
 そこで地域に活力を取り戻すために、「どのような属性のお客さんが、どのような消費行動を取っているのかを把握することが、来シーズン以降のリピートに繋がると考えました」と前出・大沼田氏は語ります。

画像:事業概要イメージ

■通年賑わうマウンテンリゾートを目指して

 今回の取組で目指すのは観光データの収集。そしてそれをCRM(顧客関係管理)のベースとする目的があります。
 
 「客単価を上げるためには、宿泊客の予約データを使わない手はありません。そこでまずは志賀高原観光協会の公式Webサイトに予約機能を持たせ、属性などのデータを余さず収集し、その後のコミュニケーションに活かしたいと考えています。具体的には、1人あたりの滞在日数の拡大、スキー以外の価値提供による消費額の拡大、そして次年度以降のリピート率の向上といった点から、地域の売上げアップを目指します」(大沼田氏)
 
 そのためには流入の窓口を協会公式Webサイトに集約するのが理想的。そこから得られた顧客データを元に、スキーやスノーボード以外のアクティビティを提案したり、グリーンシーズンの誘客を促そうというのが、コンソーシアムが描く青写真です。

画像:志賀高原観光協会公式サイト トップページ
画像:志賀高原観光協会公式サイト 宿泊予約検索ページ
画像:志賀高原観光協会公式サイト 各エリアの魅力紹介ページ

 「そのためにデジタルの活用を見直し、システムの内部と運用面を大幅に改善・再構築を行い、生産性や収益性の向上に伴う各種データを収集することでマーケティングを強化していきます。宿泊施設や飲食店など地域内のすべての事業者をこのシステムに巻き込むことで、生産性の最大化を図り、冬季だけでなく季節を問わず賑わうマウンテンリゾートとしてリブランディングしていければと思います」(野口氏)
 
 志賀高原がこれからどのような価値を創出していくのか、楽しみに見守りましょう。
 
※2022年10月1日にリニューアルオープンした志賀高原観光協会公式Webサイトはこちら>>>https://www.shigakogen.gr.jp/

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本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
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