〈事業レポート〉RPG「たかやまくえすと」で高山市を遊び尽くせ!
岐阜県高山市では現在、観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「魅力再発見PROJECT たかやまくえすと ~そして今くるさ~」事業を展開中です。
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重要伝統的建造物群保存地区に指定される通称「古い町並」を中心に、通年多くの観光客が訪れる高山市ですが、その周辺地域までいかに誘客するかが長らく課題とされてきました。
そこで、高山市の町並をモチーフとした架空の世界を舞台とするRPG「たかやまくえすと」を通して地域の魅力を広く発信しようというこの取組。実際に高山の街でプレイしてみました。
▼GPS機能との連動でO2O(Online to Offline)を促進
「たかやまくえすと」は歴史や地理、民話など計7つのステージで構成されるゲームで、プレイヤーはそれぞれのストーリーに沿ってミッションを順にクリアしていきます。冒険の舞台となるマップ上には、市内に実在する商店や施設、観光スポット等が配置され、旅をしながら地域の魅力に触れられるのが特徴です。16bitのレトロなグラフィックに懐かしさを覚える人も多いのではないでしょうか。
7つのステージをひと通りクリアした上で高山市を訪ねてみると、ゲームの中で見知った店舗やスポットが次々に目につき、自然に旅前の予習ができていたことを実感します。
さらに秀逸なのは、GPS機能の活用によって、高山市内の15のスポットを実際に訪ねると、ポイントが加算されるギミックが用意されていること。一定数のポイントが貯まると裏ダンジョンへの扉が開かれたり、現地で景品がもらえたりといった特典が設けられ、これによってユーザーの来訪意欲を高め、O2O(Online to Offline)を促進する狙いがあるのです。
「市内の玩具店『アラジン』に景品を交換にやって来る人が散見され、また、GPSスポットの1つである『光ミュージアム』では、このゲームをきっかけに来館する人が増えているとの報告があがるなど、当初期待していた以上の反響をいただいています」(名鉄観光サービス株式会社・木村早貴恵氏)
時にはレンタカーで、時には歩いて散策がてら、ゲームのストーリーに沿って高山市を回遊するのは新鮮な体験でした。ちょうど全国的に緊急事態宣言が解除されたタイミングと重なったことも追い風で、SNS上には「高山に行ってみたくなる」、「高山を知らない人でも地域の特徴や歴史を知りながらゲームに没入できる」など、ポジティブな反応が多く見られます。
▼ゲームでありながらガイドブックでもある
では、「たかやまくえすと」のリリースから数週間を経て、運営サイドはこの取組についてどのような手応えを感じているのでしょうか。
「まず、ゲームの難易度設定については、もう少しレベルを上げたほうが純粋な“ゲーマー”の皆さんには訴求できたようにも感じています。ただ、簡単だったおかげで日頃ゲームになじみのない方でもプレイしやすく、浸透しやすかったのも事実でしょう。インターネット上でも『簡単過ぎるがこれでも良い』との意見が見受けられ、結果的には現状がベストだったと考えています。一方、裏ダンジョンの存在はかなりゲーマー心をくすぐったようで、この仕掛は大正解だったと思います」(木村氏)
また、このゲームによって更に効果的に地域の魅力を伝えていくために、次のような反省も。
「仕様上、ゲーム内の施設情報はリアルタイムで更新できないので、SNS等を活用してそれを補う発信が必要だと感じています。たとえばシーズンごとに開催されるリアルイベントとうまく連動させられれば、プレイヤー側の満足度も大きく変わるでしょう」(同)
もちろん、RPGという手法を採ったことで、どうしてもターゲットが若年層に限られてしまうことは否めません。デジタルになじみのない世代に、いかに浸透させていくかが今後の課題でしょう。
「ゲームでありながらガイドブックでもあるのが『たかやまくえすと』の特徴です。ある意味、普通のガイドブックよりもじっくり読む仕組みになっていますので、プレイヤーの皆さんに引き続き、思い思いの魅力を見つけていただき、一人でも多くの方に高山へ来ていただくきっかけになれば嬉しいですね」(同)
なお、ゲームクリアに要する時間は、順調であれば約2~3時間。東京から高山へ向かう道中にRPGを楽しみ、現地についての予習ができるのが「たかやまくえすと」の大きな特徴です。
近年では人気アニメ「氷菓」の舞台としても注目されている高山市だけに、今後、さらなるゲームのカルチャーとの相乗効果が期待されます。皆さんもぜひ、「たかやまくえすと」を通して高山市の魅力に触れてみてください。
最後に……
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