知多半島と日間賀島・篠島が織りなす愛知県南知多町の“島時間”を、オンラインツアーで体験!
海水浴や温泉、海の幸を目当てに、東海圏から多くの観光客が訪れる南知多エリア。しかしコロナ禍の影響は大きく、今夏の観光客は例年の半数にあたる約15万人にとどまるなど、苦境を強いられています。
更にはアフターコロナにおいても団体旅行の敬遠傾向が予測され、今後は東京・大阪等ほかの都市圏や、FIT客(個人手配の海外旅行者)の来訪意欲を増進する魅力的なコンテンツの造成が急務。そこで今回、観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択されたのが、「南知多・とっておきの“島時間”で来訪意欲を増進するオンライン活用事業」です。
自然豊かで風光明媚な地域のポテンシャルを、オンラインによって広く発信しようというこの取組。事業の全容について、「南知多“島時間”オンラインツアー事業コンソーシアム」の皆さんにお聞きしました。
▼地域が誇る「しらす」と「鯛」をツアーの目玉に
南知多エリアは知多半島の南岸と、日間賀島・篠島の2島からなり、観光産業と農水漁業で栄えてきた地域です。現在の状況について、一般社団法人知多半島観光事業協会のメンバーであり、南知多町観光協会の事務局長を務める久世守氏は次のように語ります。
「エリア内にはおよそ150軒の宿泊施設が存在し、平時であれば年間約300万人の観光客のうち、60万人ほどの宿泊がありました。ところが昨年からのコロナ禍で、宿泊需要は壊滅的と言わざるを得ない状況です。そのため、高齢層も多い土地柄ではありますが、将来を見据えてデジタルを用いた新しい取組に期待する声は多いですね」
そこで今回、観光庁の支援を得て実施される「南知多・とっておきの“島時間”で来訪意欲を増進するオンライン活用事業」では、知多半島と日間賀島・篠島からなる地勢を生かし、この地域ならではの魅力を体験できるオンラインツアーを実施する予定です。
「具体的には、篠島のしらすと鯛をメインにした2つのコースを予定しています。愛知県はしらすの漁獲量が日本一であり、中でも篠島の漁獲量は県内一を誇ります。参加者の方には事前にお送りしたそれらの海の幸をご堪能いただきながら、オンラインツアーで島の魅力を感じてほしいと考えています。たとえば、漁港の様子やしらす漁にあたる漁師の動きを映像でお見せし、現地の様子をリアルに体感していただくコースがまず1つ。さらに、篠島で獲れた鯛は伊勢神宮に奉納され、神事に用いられる名産ですから、そうした歴史的背景を含めて体験していただくツアーが1つ。こうしたオンラインツアーは、この地域では初めての取組になります」(久世氏)
これらのオンラインツアーは、10月下旬から11月上旬を予定し、鋭意準備が進められています。
▼コミュニティアプリ「SpoTribe」で新たなコミュニケーションを
「南知多“島時間”オンラインツアー事業コンソーシアム」には、インターネット関連サービスを手掛ける楽天グループ株式会社も参加しています。これにより、ネット上での販促面のほか、技術面で次のような取組が実現しました。
「『SpoTribe』というアプリの活用は、今回の取組の目玉の1つと言えると思います。これは場所を起点にユーザー同士がつながるコミュニティアプリで、その場所に関心を持つ人がSNS感覚でコミュニケーションをとり合うことができるものです。現状では、地元の皆さんにご参加いただき、地域のお気に入りスポット等についてコメントを寄せてもらっています。今後、オンラインツアーをきっかけに来訪した方々と、地域の人々との交流が生まれることが期待され、南知多のファンを育むにはまさにうってつけのツールであると感じています」(知多半島観光事業協会・岡川芙巳プロジェクトリーダー)
知多半島では絶壁から海を見下ろす迫力ある風景が見られ、篠島では日の出と日の入りが同じ海岸線上から見られるなど、「このエリアを実際に訪れた人にしか感じられない感動がたくさんある」と岡川氏は語ります。「SpoTribe」のコミュニケーション機能によって感動を共有することで、そんな旅情をいっそう盛り上げる一助となるでしょう。
なお、こうしたデジタル技術を活用した取組が実現した背景には、コンソーシアムの面々による地域に対する粘り強いプレゼンがありました。まだプロジェクトは序盤に過ぎませんが、「観光DXの取組は南知多エリアにとって良い刺激になっている」と久世氏は語ります。
「日間賀島では近年、漁のオフシーズンに漁師の方が宿泊施設で調理を担当するなど、業種を超えて人手不足を補う取組も生まれています。こうしたチャレンジ精神が芽生えたタイミングでDXに取り組むのは有意義であると感じますし、何よりこの事業でIT企業の皆さんと協業できることは、今後に繋がる良いきっかけだと思います」(久世氏)
南知多の島時間は、オンライン技術を活用して、どのような反響を巻き起こすのか。取組の続報にご期待ください。
最後に……
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