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現実世界の街を仮想世界の音とともに巡る―音声ARアプリで新しい旅体験!

 音声によって拡張現実を実現する音声AR技術を使って、外国人旅行者が日本滞在中も自分の言語で観光できたり、地域に訪れた際、地域の情報を音声ガイダンスで知ることができたりする取組が進められています。具体的な取組について、観光音声メタバースコンソーシアムの皆さんに話を聞きました。

■事業の概要

 今回の実証実験では、岩手県八幡平市・埼玉県秩父市・静岡県藤枝市・愛媛県今治市の4つの地域を対象に、音声ARによる地域全体の周遊・消費促進、そしてガイドやクリエイターの育成を目指します。 

■オープンプラットフォームで音声ガイダンスを 

 「今回の事業の目的の1つは、リピートしたくなる旅の創出で、これは観光庁が昨年から掲げてきた“第2のふるさとづくり”にも通じるものです。そのため、特定の観光施設やアクティビティに留まらず、地域で暮らす人々との交流にフォーカスを当てることが重要で、そこで着目したのが音声ARです。今回の取組ではソニーの音声ARアプリ『Locatone™』を使い、目の前の景色を楽しみながら地域の人々による音声ガイダンスに誘われる旅のスタイルを確立します」
 
 そう語るのは観光音声メタバースコンソーシアムの代表企業、株式会社フェザンレーヴの高本昌宏氏です。
 
 旅行者は予めスマートフォンに「Locatone」をインストールしておくことで、観光看板やガイド誌などに頼らず、音声ARによって地域の情報をリアルタイムに得ることが可能になります。また、この「Locatone」によるプラットフォームでは、地域で暮らす人々がそれぞれの専門分野や得意分野で地元の情報を提供し、誰もが旅のガイドを担うことができるのも大きな特徴です。
 
 「今回の取組では、『Locatone』のツアーを制作できる『Locatone Studio』を使用して、地域の人々が自ら、地域のために知識やアイデアを投じることができます。それが旅行者にとって有益なコンテンツになるという、エコシステムとしての観光DXを実現したいと考えています」(高本氏)
 
 旅行者にとっては旅前、旅中の有機的な観光情報源となるのはもちろん、地域で暮らす人々との接点が生まれるのがこの取組のポイントです。さらに、音声コンテンツを作成する人材を地域に育むことにも繋がり、「地域の、地域による、旅行者の為の」観光開発に通じています。

画像:音声ARアプリ「Locatone」利用の流れ
画像:本取組のビジネスモデルイメージ

■これまでにない旅体験を演出する音声ARアプリ「Locatone」(ロケトーン)

 取組のカギを握るのは、音声ARアプリ「Locatone」。開発を手掛けたソニー株式会社の安彦剛志氏は次のように解説します。

 「スマートフォンの普及により、人が接する情報量は飛躍的に増加する一方で、常にスマートフォンから目を離せず、“デジタル情報世界”と“実世界”のバランスが課題となっています。そこでサウンドを使うことで、現実の世界にプライオリティを置きながら情報をうまく差し込むことが可能となり、人と機器、情報の関係をより自然に音を通じて結びつけることができればと思い、Sound ARの技術を活用したプロジェクトがスタートしました。そこから生まれたのが『Locatone』で、これがコンテンツツーリズムの開発にも活かされています。具体的には、街を歩いていると自動的にその場に応じた音声や音楽が流れ、何らかのエンタテインメントが起きるというもので、たとえばアニメの舞台となった地域で、作中に登場するキャラクターの声でガイドするようなことが可能になります」

 イヤホンさえあれば手軽に音声ARを体験できる敷居の低さに加え、歩きスマホのリスクを回避できるのは大きなメリット。さらに、複雑な演出にも対応可能です。 

 「たとえば、歩いたりジャンプしたりといった身体運動に合わせて音を鳴らしたり、360立体音響技術によって特定方向から音を鳴らしたり。また、位置情報だけでなくBluetooth™にも対応しているので、建物内でもビーコン(Bluetoothの電波を発する小型端末)によってより細かな位置連動を行なうことが可能です」(安彦氏)
※「Locatone」の詳細はこちら>>>https://www.locatone.sony.net/

 音源は3つまで重ねることができ、BGMの上に音声ガイドを流し、さらにロケーションに合わせた効果音を鳴らすなど、臨場感豊かな表現を実現。前出・高本氏は、「ソニーはこれらの技術を使って、世界中をテーマパークにすることを目標に掲げており、我々もその目標を一緒に実現したいと思っています」と語ります。

 「旅行者にはこうした機能を生かして観光を楽しんでいただきながら、その一方で地域事業者の皆様には、投げ銭システムやECへの誘導で収益化を図り、得られたトラッキングデータを今後のマーケティングに生かすという、新たな循環が生まれます。結果として、UGC(ユーザー生成コンテンツ)の充実化、そして関係人口の拡大に繋げられれば理想的ですね」(安彦氏)

 「Locatone」はいわば、参加型のコンテンツ開発プラットフォームであり、CRM(顧客関係管理)ツールでもあるのが特徴。同コンソーシアムの一員である株式会社サービスマーケティングの清永治慶氏は、次のように意気込みを語ります。

 「集客し、地域の経済を活性化させるのが観光産業の本質で、それによって雇用が充実すれば自ずと移住者も増えていくはずです。今回の取組はその第一歩であり、地域の人材を巻き込みながら継続させることが重要と考えます。そしてゆくゆくはこの取組を他の地域にも横展開し、最終的に世界にまで持っていくことが我々の目標です」

 今秋の実証実験の成果に期待しましょう。

※本取組で制作されたコンテンツが一部公開中です!(2022年12月末現時点)
「IMABARI-SOUNDベンチャー」https://www.locatone.sony.net/ch/30/「CHICHIBU-SOUNDベンチャー」https://www.locatone.sony.net/ch/29/「HACHIMANTAI SOUND NAVI」https://www.locatone.sony.net/ch/32/

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本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
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