見出し画像

〈事業レポート〉分身ロボット「OriHime」を介して大盛り上がり! 高知県バリアフリーアドベンチャーツアー

 10月中旬、かねてよりバリアフリー観光を積極的に推進してきた高知県で、遠隔操作できる分身ロボット「OriHime」を用いたオンラインツアーが実施されました。

 高知市の特別支援学校と室戸市の室戸ドルフィンセンターをオンラインでつないで実施されたこのオンラインツアーは、観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「~オンライン分身ロボット『OriHime(オリヒメ)』で旅をあきらめない~高知バリアフリーアドベンチャーツアープロジェクト」の一環です。

 車椅子ユーチューバーの眠梨桜さんがイルカと触れ合う様子に、特別支援学校の子どもたちから大きな歓声があがりました。高知県バリアフリーアドベンチャーツアーコンソーシアムの皆さんに、取組の舞台裏をお聞きしました。

▼3台の「OriHime」でイルカとの触れ合いを伝える

 じりじりと太陽が照りつける絶好のマリンアクティビティ日和と言えるこの日。分身ロボット「OriHime」を通して、特別支援学校の子どもたちから「ジャンプするところが見たい!」と元気な声がスタッフに飛ぶと、合図に合わせてイルカが水面から大きく跳ね上がりました。

高知取材_002

 舞台となった室戸ドルフィンセンターは、車椅子利用者でもイルカと間近で触れ合ったり、共に泳いだりすることができるバリアフリー対応のアクティビティ施設です。

「今回のツアーでは、計3台の『OriHime』を活用しています。スタッフには事前にオンラインで操作に関するレクチャーを徹底し、また、当日は時間をかけて入念にリハーサルを行って本番に臨みました。
なおスタッフは、単に『OriHime』を動かすだけでなく、地域の自然や文化に対する質問にもしっかり答えられる人材にお願いしたいということで、地元の観光協会等に今回の趣旨を説明し、協力をお願いしました」(有限会社ファクトリー・横山江里子氏)

 そうした事前準備が物を言い、参加した子どもたちは「OriHime」を介して、室戸ドルフィンセンターの雰囲気やイルカと遊ぶ楽しさを存分に満喫した様子。障がい当事者であるユーチューバーの眠梨桜さんが、イルカの背びれに掴まりながら海を遊泳するシーンでは、とりわけ大きな歓声があがっていたのが印象的です。

「子どもたちからすると、日頃は自分の意志を示し、それに対しリアクションをもらうような経験が少ないため、『OriHime』越しに要求を伝えてリアクションが得られる体験は有意義だったようです。オンラインではありますが、こうして貴重な観光体験を提供できたのは良かったですね」(横山氏)

 実際、ツアー後には「海がすごく綺麗でした」、「オンラインで質問できることにびっくり」、「眠さんがイルカと泳ぐ姿を見られてよかった」などなど、ポジティブな生の声が多数寄せられました。

画像2

▼更に視聴者を惹きつけるコンテンツ作りを目指して

 天候にも恵まれ、大きなトラブルもなく成功のうちに終えたこの初回ツアー。翌日のヨット体験では、「本番ではリハーサルの時より波が高くなり、高価な撮影機材に水がかかりそうになったため、対応に追われました」(同・織田庸三氏)と想定外の事態もあったものの、これもリアルタイムのツアーならではでしょう。

 では、取組を通して得られた成果、そして次に向けた課題は何か。

「まず成果は、こちらが予想していた以上に、参加した子どもたちや先生に喜んでいただけたこと。子どもたちのご家族からもお礼の言葉を頂きました。そして課題としては、現地の『OriHime』が実際のどのような動きをしているのかがイメージしにくいとの声があったことで、今後は3台の『OriHime』の配置を工夫して、ほかの『OriHime』の動作や反応を見えるように改善したいと考えています」(横山氏)

 こうしたオンラインツアーでは、現場のムードをどれだけリアルに伝えられるかが大きなポイント。プロジェクトは11月までに、既に全6回のツアーを終えていますが、今後さらなる臨場感を表現するために、運営サイドの試行錯誤は続きます。

「ドルフィンセンターやヨット体験など、アクション性豊かなツアーは視聴者を惹きつけやすいコンテンツですが、たとえば4回目に実施したカツオの藁焼き体験など、どちらかといえば動きの少ない“静”の体験プログラムについては、工夫の余地があると考えています。たとえばもっと体験や文化、人にフォーカスするなど、いかに視聴者を飽きさせない魅力的な内容にするか、引き続き関係者間で協議していければと思います」(office FUCHI・渕山知弘氏)

 なお、ツアーの模様は地元メディアに取り上げられたほか、他地域の特別支援学校にアーカイブ動画の視聴を働きかける動きが生まれるなど、さまざまな反響を呼びました。高知県から広がるユニバーサルツーリズムのムーブメントにご注目ください。

※アーカイブ動画の視聴はこちら>>>

高知取材_004

最後に……
「観光」×「DX」で実現する新しい観光コンテンツの情報発信をTwitterでも日々つぶやいています。是非チェック&フォローをお願いします。 【Twitter】https://twitter.com/digitalxproject

記事を気に入っていただけたら、以下の「オススメする」ボタンも是非よろしくお願いいたします。