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データに基づくマーケティングで、ロイヤルゲストをおもてなし

 三重県は美しい自然、そして独特の歴史や文化を持っていますが、これまでは観光に関するデータが有効活用されず、三重県に来てくれている旅行者の動向の把握や再来訪に向けた施策を十分に行えていないことが課題でした。
 
 そこで、地域に特別な愛着を持ってくれるロイヤルゲストを把握・育成するために、宿泊施設や各種アクティビティ、現地での購買などに関するデータを一元管理し、データに基づく施策を行うことで、地域の活性化や持続可能な観光地経営を目指すプロジェクトが進められています。

 その具体的な施策と取組について、三重県観光DX推進コンソーシアムの皆さんに話を聞きました。

▼事業の概要

▼地域に愛着を持つロイヤルゲストとは?

 観光産業にもデジタル化の波は押し寄せており、今日、データドリブン (※2)な観光地経営に取り組む地域は少なくありません。
(※2)データドリブン:データを収集・分析し、ビジネス上のさまざまな課題に対して判断・意思決定を行うこと

 伊勢神宮や伊勢志摩エリアの美景、温泉、伊賀上野城――など、豊富な観光資源を擁しながら、コロナの影響等により、観光産業において長らく不況に苛まれており、データの収集と有効活用は喫緊の課題とされてきました。

「観光は地域を豊かにする重要な手段の1つです。そこで観光資源を生かして地域経済を活性化させるためには、“ロイヤルゲスト”の取り込みが不可欠です。ここでいうところのロイヤルゲストとは、地域に特別な愛着を持ってくれていて、価値あるものに適正な対価を支払い、満足度に応じて長期の滞在やリピート訪問をしてくれる旅行者のことであり、地域として旅行者を把握したうえでロイヤルゲストに育成していくことを目指しています」

  そう語るのは三重県庁・観光局観光政策課の川口政樹氏です。ロイヤルゲストを育成するためには、誰が・いつ・どのくらいの頻度で三重を訪れているのか、地域の顧客データベースの構築が欠かせません。

「三重を好んで訪れ、地域で消費行動を起こしてくれるお客様に対し、我々としては適切なおもてなしを用意する必要があります。具体的には、個々に求められている情報やコンテンツを発信し、滞在期間の満足度を高めることで地域のファンになっていただくのが重要です。そのためにはデータに基づくCRMの導入が不可欠であると考えました」(川口氏)

 CRM(Customer Relationship Management)とは顧客関係管理、つまり事業者側が顧客満足度の向上に努め、収益の拡大を目指す経営戦略のこと。三重県ではそのために今回、旅行者データに基づいて、ロイヤルゲストの囲い込みを図ります。

図:事業イメージ(Ⅰ)

▼観光行動に応じて「みえポ」ポイントを付与

 三重県では昨年度から「三重県観光マーケティングプラットフォーム(別名:みえ旅おもてなしプラットフォーム)」の構築に着手してきました。
 
「これは、オンライン上での宿泊・体験予約やアンケート回答、AIによる周遊ルート提案といったサービスを通して収集する旅行者データを一元管理し、そのデータを活用して観光マーケティングを行えるようにするものです。このプラットフォームを有効に機能させるためには、観光事業者の方々と協働して旅行者データを集める必要がありますので、観光事業者のマーケティング活動をサポートするツールとしてプラットフォームの機能を利用していただき、その結果として旅行者データがCRMに蓄積されていく仕組みとしています」(同)
 
 また、CRMに旅行者データを蓄積する取組については、観光事業者だけではなく、地域の協力が必要不可欠です。
 
「ロイヤルゲストを把握して大切にしていく取組は、地域の実情や特徴を生かした方がより効果的だと考えていますので、プラットフォームをデータ基盤として県が提供し、三重県内の自治体・DMO等が利活用できる仕組みとしています。現在、いくつかの地域とデータ連携の取組を始めたところであり、これらの地域でもCRM施策が展開されるようにサポートしていきます。そうすることで、三重県内のデータがプラットフォームに集約され、地域自らがデータを収集、活用できるようになることを目指しています」(同)

表:三重県観光マーケティングプラットフォームの連携先及び連携内容

 地域住民が豊かに過ごせる持続可能な観光地づくりを進めるうえでは、地域に愛着を持ち、消費行動の活発な“ロイヤルゲスト”にリピートしてもらうのが効果的。そのために同時に展開されているのが、「みえ旅おもてなしポイントプログラム(通称・みえポ)」です。
 
「これは航空会社のマイレージのように、宿泊で10ポイント、県内2エリアの周遊で5ポイントなどと観光行動に応じたポイント『みえポ』を付与するインセンティブ制度です。今回の実証事業では、一定数のポイントを貯めた方に抽選でプレゼントをする企画を実施していますが、今後は累計ポイントの高いゲストに対してスペシャルなおもてなし体験を提供していく予定です」

画像:事業イメージ(Ⅱ)
画像:参画施設で特典を受けるためにスマートフォンでQRコードを読み込む様子

 つまり旅行者の側からすると、「三重県観光マーケティングプラットフォーム」を使って旅前の準備、そして旅中の充実を図り、何度もこの地域をリピートすることで、さらに質の高い体験が得られるというのが今回の取組です。
 
 果たして今回の実証事業を通して旅行者からどのような反応が得られるのか、注目です。
※「みえ旅おもてなしポイントプログラム」公式Webサイト:https://miepo.kankomie.or.jp/

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本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
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