全国35以上のスキー場をデジタルパスで繋げ、「スノーリゾート経済圏」の構築を目指す
世界と比較して、雪質や自然環境の面でレベルが高いとされる日本のスノーリゾート。しかし、スノーリゾートは夏季と冬季で繁閑差が大きいため、需要の平準化や人員の確保等の課題が付き物です。また、知名度の高いスキー場に客足が集中したり、周辺のホテルや飲食店との連携不足によって各事業者の労働生産性が上がらないといった問題も抱えています。
そこでアースホッパーコンソーシアムではこうした課題を解決するため、全国35のスキー場にデジタルパス「アースホッパー」を導入し、実証実験を進めています。
■事業の概要
インバウンド需要の回復も期待される中、この取組を通して将来的に目指しているのは、アジア最大のスノーリゾートプラットフォームの構築です。コンソーシアムの代表企業である株式会社Pioneerworkの後藤陽一氏に、取組の全容をお聞きしました。
■全国35のスキー場を繋ぐ「アースホッパー」
「日本のスノーリゾートは、自然のフィールドを存分に活かした地形、ガイドやインストラクターのレベルなど、様々な点で世界的に高い評価を受けています。しかし、そのポテンシャルが十分に発揮されているかというとそうではなく、まだまだ認知不足により経済面で相応の成果が得られていないのが実情です。そこで、日本のスノーリゾートの魅力をより広く理解してもらうためには、単一のスキー場だけでなく、複数のスキー場が連携して広域的に取り組むことが重要であると考えました」
自然を舞台に行うスポーツを「アーススポーツ」と定義し、季節やフィールドに囚われないコンテンツ開発に長らく取り組んできた後藤氏は、プロジェクトの着想をそう語ります。
日本のスノーリゾートは、受入環境の整備や二次交通の確保に取り組んでいるものの、海外での認知が進まず、十分な経済効果を得られていないのが実情です。また、雪のないグリーンシーズンの観光開発も急務と言えます。
そこでデジタル技術の活用により、効果的なマーケティングを行おうというのが、今回の取組のアウトライン。活用するのは、同社が開発したデジタルパス「アースホッパー」です。
■マーケティングのためのプラットフォームにも
「北米などには複数のスキー場を跨いだシーズンパスが導入されていて、多くのユーザーに浸透しています。これを日本で実現したのが『アースホッパー』で、リフト券の発行やギアレンタルなどを受けられるサブスクリプションサービスであり、ユーザーデータを収集するデジタルプラットフォームとしての機能も併せ持っています」(後藤氏)
「アースホッパー」は日本全国約35箇所以上のスキー場で利用可能で、ユーザーの都合の良い立地、あるいは好みの雪質やその日の天候に合わせてスキー場をホッピングできるデジタルのサブスクリプション型のシーズンパスです(※1つのスキー場につき2回まで)。更に、スキーやスノーボード用品のレンタルにも対応し(※一部スキー場を除く)、手ぶらで出掛けられるのもユーザーにとって大きな魅力でしょう。
※「アースホッパー」公式ホームページ:https://www.hopper.earth/
後藤氏によれば、既にユーザーから「スマホ上でリフト券が買えるのがいい」、「行ったことのない魅力的なスキー場を発見できる」といったポジティブな声が多数届いているのだそう。
「また、将来的には『アースホッパー』に各エリアの観光施設で使える割引クーポンや、活用頻度によって特典が得られるポイントシステムなども取り入れていきたいと考えています。これはスキーやスノーボードを目的に訪れた人たちに地域を巡ってもらい、購買行動に繋げることが目的です。そして得られたユーザーデータを分析すれば、その地域に求められているもの、足りていないものなどが見えてくるはずで、更なるマーケティングの材料となるでしょう」(同)
「アースホッパー」を活かし、地域を跨いだ観光施策や更なる商品の造成に繋げたいと語る後藤氏。この仕組みをキャンプやグランピングといったグリーンシーズンのコンテンツ開発にも活用でき、地域の“稼ぐ力”の醸成を目指します。
「そのためにも、まずは今シーズンにユーザーデータを可視化し、来シーズン以降に活かす筋道をつくることが大切だと考えています。また、小規模なスキー場では海外へのプロモーション手段がなく、インバウンド需要を引き込めずにいるところが少なくありません。『アースホッパー』をインバウンド市場にまで広げることで、将来的にアジア最大のプラットフォームに育てていきたいですね」
※2022年9月からは、「アースホッパー」のオールシーズンパスをより楽しむための使い方や、アンバサダーとして活動してくれる「パワーアースホッパー」のライフスタイルなどを紹介するブログも公開されています。
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本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
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