東京下町・奥浅草に脈々と根付く「花街」の文化をオンラインツアーで体験
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東京下町・奥浅草に脈々と根付く「花街」の文化をオンラインツアーで体験

 お座敷遊びといえば京都のイメージが先行しますが、東京の下町、奥浅草と呼ばれるエリアにも花街が現存しています。しかし、浅草寺から徒歩1分という好立地ながら、来街者は減少の一途。更にコロナ禍によるインバウンド需要の停滞が追い打ちをかけ、東京の花街は衰退の危機に晒されています。

 そこでデジタル技術の活用によって花街に活況を取り戻そうという取組が、今回、観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「浅草芸者とめぐる東京下町とお座敷遊び体験オンラインツアー」です。

 DXの力で花街の楽しみ方、そして伝統ある文化の魅力を広く発信しようというこの取組。主催の「東京伝統文化・工芸振興協議会」の皆さんに、その詳細と今後の展望をお聞きしました。

▼浅草寺のすぐ裏手に存在する東京の花街

「奥浅草は浅草寺のすぐ真裏に位置するエリアです。ご存知のようにコロナ以前の浅草寺は、多くのインバウンド観光客で賑わっていましたが、奥浅草エリアにはなかなか踏み込んでいただけずにいました。せっかくの魅力あるコンテンツをどう生かしていくのかが、長らく奥浅草の課題とされてきました」(東京伝統文化・工芸振興協議会 佐々木淳一氏)

 情報発信が著しく遅れていた理由の1つは、新しい技術や取組の導入に対して忌避感を持つ下町独特の気質があると語る佐々木氏。その結果、地域のITリテラシーが醸成されず、観光客に十分なアプローチができずにいました。

 他方、芸者をまじえたお座敷遊びは、知ってはいても一般的にはなかなか敷居が高いもの。そこで今回の取組では、この機会にオンラインを介して花街の魅力や遊び方をより多くの人に知ってもらうことで、関心層の拡大を狙います。

「こうしたお座敷遊びというのは、価格の面からしても本来はどうしても客層を選んでしまう世界ですが、オンラインであればその知られざる魅力を安価に疑似体験していただくことが可能です。そこで今回の取組では、Zoomを使って芸者さんの踊りの動画を配信し、参加者の方とコミュニケーションをとったり、あるいは360度カメラによって芸者さんが訪れる場所をリアルにお見せできればと考えています」(佐々木氏)

 なお、オンラインツアーは日本国内向けに4回、欧米向けに2回、そして台湾向けに2回の計8回を今秋以降、順次予定しています。また、参加者には花街や芸者について解説したデジタルガイド誌が配布され、こちらは英語版、中国語版を含めた多言語で制作されます。

「花街の魅力をしっかり表現するために、今回のオンラインツアーでは芸者さんのプライベートや稽古の様子などをあらかじめ収録し、ドキュメンタリータッチで見せることを想定しています。リアルで来訪されるお客さんでもなかなか見る機会のない貴重な映像になるでしょう」(佐々木氏)

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▼浅草ECサイトの構築で安定的な収益確保を目指す

 長い歴史と伝統を持つ花街の世界。こうした新しい取組への理解と協力を得るには、少なからず苦労もありました。同協議会の中山良一氏は次のように語ります。

「デジタル技術に対する障壁もさることながら、古くからの常連さんとの絆を大切にされている世界ですから、むやみに新たな客層を呼び込むことには、やはり抵抗感をお持ちだったようです。しかしコロナで来街者が激減し、更には深刻な後継者問題も抱えている現状から、少しずつ新しい取組に対して門戸を開きつつあり、今回の企画が実現しました」

 コロナ禍という逆境が、DXへの理解を促したことについて、佐々木・中山両氏は「浅草全体のPRを踏まえれば、非常に有意義なこと」と口を揃えます。だからこそ、こうしたオンラインでの取組を、サスティナブルなものにしていく必要があるでしょう。

「今回は観光庁からの支援で成立させることができても、本来はオンラインツアーの売上だけで十分な収益は賄えません。そこでECサイトを構築して、安定的なマネタイズを図ります。具体的には浅草エリアの商店による物販、地域の祭事のチケット販売、更には芸者さんとのお食事券の販売など、向こう数年を見据えて取り組んでいければと思っています」(佐々木氏)

 なお、芸者さんとのお食事券とは、ディナーではなくランチで実施することでリーズナブルな花街体験を提供しようという実験的なもの。花街の客層を広げる有効な一手となるかもしれません。

「明治初期の奥浅草には、100人以上の芸者さんがいたと言われていますが、現在はわずか8人にまで減ってしまっています。このままでは向こう数十年のうちに奥浅草から芸者さんがいなくなってしまうという危機感があり、なおさら今回の取組には大きな期待がかかっています」(中山氏)

 東京には浅草のほかにも、芳町・新橋・赤坂・神楽坂・向島と5つの花街が現存しています。今回のモデルを成功させた暁には、「東京にもこれだけの花街があり、お座敷遊びができるということを、海外も含めて広く周知させたい」と語る佐々木氏。伝統文化を後世に繋げていくためにも、価値ある取組と言えるでしょう。

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最後に……
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