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日本のものづくりを海外でPR!リアル/オンライン連動型クラフトイベントを開催

 ものづくり大国と言われる日本は、伝統的な技術や文化を伝える工房や産業が全国に多数存在しています。しかし、インバウンド観光客にも絶大な人気を博したこれらの産地は、やはりコロナ禍によって低迷しています。

 そこで、それらの伝統的な技術・文化を観光資源として、リアルとオンラインを連動したクラフトツーリズムをPRしようというのが、今回、観光庁主導の「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「LOCAL CRAFT JAPAN - 地域を立体的にPRするリアル/オンライン連動型クラフトイベントからのインバウンド誘客スキームの確立」事業です。

 海外でのリアルイベントにデジタル技術を駆使したこの取組について、代表団体の「LOCAL CRAFT JAPAN実行委員会」に詳細を聞きました。

▼100年先のものづくりを考えるきっかけに

「日本には歴史と伝統のあるものづくり産地がたくさんありますが、今回の取組を通して発信したいのは、そうした産地の魅力だけでなく、これからの時代に即した新しいものづくりのあり方そのものです」

 そう語るのは、LOCAL CRAFT JAPAN実行委員会の共同代表、澤田哲也氏です。ビフォアコロナには海外からの観光客が多く訪れた全国のものづくり産地。今回の事業には、コロナ禍によって観光需要が低迷する今だからこそ、未来を見据えて日本のクラフトツーリズムを再定義したいとの思いが込められています。

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「日本のものづくりというのは、良くも悪くも大量生産大量消費に支えられてきた歴史があります。もちろんそれは決して悪いことではなく、経済成長の大切な礎であったことは間違いありませんが、一方で資源の問題や市場規模からしても、日本は本来、大量生産路線には不向きな環境と言えます。これからの時代は少量生産あるいは中量生産で付加価値が高く、持続可能なものづくりが求められるはずで、今回のイベントを通して多くの人に“100年先のものづくり”を考えていただければと考えています」(澤田氏)

 ただし、確かなポテンシャルを持ちながら、産地側の広報体制や受入基盤の構築はまだまだ不十分で、それによる機会損失が生じていたのも事実。そこで今回の事業では、オンライン・カンファレンスシステムやVR等の技術を用いて、海外各地で開催されるリアルイベントと日本のものづくり産地をつなぎ、アフターコロナを見据えて来訪意欲の増進を図ります。

 具体的には、来年1月に海外3カ国でワークショップを実施予定。現時点ではシンガポールや台湾など複数の国と地域が候補にあがり、各地のセレクトショップやミュージアムショップに会場を設けて、来場者にはオンラインを介して日本のものづくりに触れてもらおうと、準備が進められています。

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▼DXによって工房の臨場感をリアルに伝える

「オンラインで工房の様子をお届けするのは、長野・塩尻の木曽漆器や京都・宇治の京仏具、広島・福山の備後デニム等全5つ。一方、海外のワークショップ会場では物販を兼ねて、実際に現物に触れていただけるようにする予定です。ただし、来訪意欲を高めるためには、各産地の工房とそこで作業する職人さんの様子をただ伝えるだけでなく、“この人に会いたい”と思ってもらえる工夫が必要です」(同)

 そのためにさまざまなデジタルツールの活用が予定されています。まず、オンライン・カンファレンスシステム「Remo」を用いることで、5つの工房が一同に介する仮想空間を演出。参加者はフェス感覚で、好きなタイミングで興味のある工房にアクセスすることができます。

「作業中の職人さんに、実際に話しかけたり質問をしたり、海外からコミュニケーションがとれるのもポイントです。職人さんの側としても、ものづくりに込めた思いを自らの口で伝える、いい機会になるでしょう」(同)

 また、製品の質感や現場の臨場感を伝えるために、触覚VR技術が取り入れられているのもこの取組の大きな特徴です。これは音や振動を伝える特殊なチップを用いた技術で、あたかも実物に触れているかのような感覚を最大限に表現するため、手法やツールの最終チェックが進められています。

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 こうして日本と海外を遠隔でつないでリアルタイムで触覚のフィードバックを行う取組は、世界でもほとんど例がなく、非常にチャレンジングな企画と言えるでしょう。

「さらに、オンライン上ではアバターによる接客を採用します。これは参加者からできるだけ正確なフィードバックを得ることが目的で、実際、単なる機械的なアンケートよりも、キャラクターを模したアバターから質問を投げかけるほうが、より率直に本心を引き出せるという実証結果も存在しています。今後の取組をアップデートしていくためにも、これは有効な手法です」(同)

 グローバルな規模感に加えて、デジタル技術を活用し、実験的な要素を多分に含んだ今回の取組。「行く行くは日本だけでなくアジア全域にエリアを広げて、各地のクラフトの魅力を伝えていければ……」と展望を語る澤田氏。今後、LOCAL CRAFT JAPANの取組への反響に期待しましょう。

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最後に……
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