旅をあきらめない! 分身ロボットで行くバリアフリーアドベンチャーツアー
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旅をあきらめない! 分身ロボットで行くバリアフリーアドベンチャーツアー

 太平洋に面した高知県は、歴史や食文化に高い関心が集まる一方で、その豊かな自然を生かした観光コンテンツが人気を博してきました。しかし、アクティビティの要素を含む観光コンテンツは、どうしても利用者が制限される側面があります。そこで地域の魅力をより幅広い層に訴求するため、高知県ではかねてよりバリアフリー観光の促進に努めてきました。

 今回、観光庁が主導する「来訪意欲を増進させるためのオンライン技術活用事業」に採択された「~オンライン分身ロボット『OriHime(オリヒメ)』で旅をあきらめない~高知バリアフリーアドベンチャーツアープロジェクト」は、分身ロボットを活用することで、より多くの人にアドベンチャーツーリズムを楽しんでもらうための取組です。

 では、分身ロボットを介したアドベンチャーツアーとはどのようなものか? 高知県バリアフリーアドベンチャーツアーコンソーシアムを構成するメンバーの皆さんに、プロジェクトの全容をお聞きしました。

▼県をあげてバリアフリー観光を推進

 高知県では、2002年に障がい者スポーツ大会が開催されたことが、県をあげてバリアフリー化に取り組むきっかけになっているそうで、現在も高知県内各所におけるハード・ソフト両面のバリアフリー調査が続けられています。

「さらに、2018年度からは県の観光振興部おもてなし課が中心となり、県内の観光施設や宿泊施設、交通機関のバリアフリー調査の実施や、バリアフリー観光推進セミナーの開催など、様々な活動を行ってきました。現在は専用サイトを構築して調査結果を公開するほか、観光客や事業者からの相談窓口として『高知県バリアフリー観光窓口』を設置するなど、受け入れ体制を整えるよう尽力しています」(有限会社ファクトリー・横山江里子氏)

 先進地域の取組事例に倣い、観光事業者側も障がいの疑似体験研修を行うなど多角的に取り組む高知県。こうした活動は観光庁が掲げるユニバーサルツーリズムの促進に合致するもので、高齢になっても障がいがあっても誰もが高知県の魅力を体感できる環境づくりを目指しています。しかし、それは容易なことではありません。

「バリアフリー観光の受け入れを目指す地域は少しずつ増えているものの、そうしたツアーを取り扱う旅行会社がまだ少なく、今後拡大すべき分野です。そこで、地域が直接情報を発信し、特別支援学校など当事者の皆さんと直接取引をしようという動きが近年始まりつつあります。オンライン技術を駆使したり、今回の取組のように分身ロボットを介したりするというアイデアを実現することは、今後ユニバーサルツーリズムを浸透させるヒントになるのではないでしょうか」(office FUCHI・渕山知弘氏)

▼分身ロボット「OriHime」と楽しむ海のアドベンチャーツアー

 では、今回のプロジェクトでは具体的にどのようなツアーが用意されているのか? 株式会社プランニングネットワークの内藤充彦氏は次のように語ります。

「今回の取組は、オンラインを介して遠隔操作できる分身ロボット『OriHime』を活用すれば、移動の困難な方にも観光を楽しんでいただけるのではないかという発想から始まっています。ただし、単に風景を見せるだけでは、肝心の来訪意欲の増進には繋がりません。そこで各スポットの映像とともに、障がい当事者のインフルエンサーの方が実際にアクティビティを楽しんでいる様子を配信することで、これなら自分も安心して観光できるという意識付けに繋げたいと考えています」

 想定されているアクティビティは、ヨット体験やドルフィンスイム、クリアカヤックなど、海や川の自然を生かしたものが中心。コンテンツは別途配信するオンラインツアーの映像と、「OriHime」を通した映像の2本立てで、車椅子の人でも十分に楽しめるアクティビティであることを伝えます。

「たとえば船上の『OriHime』から見る映像では、まさに足元が海である様子がリアルに伝えられ、一般的なオンラインツアー映像とは異なる臨場感が体感できます。これは海に入る機会の少なかった方にとっては、新鮮な体験になるはずです」(前出・横山氏)

 また、「OriHime」の感情表現機能を用いた双方向のリアルタイムコミュニケーションが可能であり、ツアー参加者の体験価値向上に繋がるでしょう。

高知用写真

▼「心のバリアフリー」を目指して

 こうした県内のポテンシャルを伝えるプロジェクトにおいて、障壁となるのはネットワークインフラです。

「たとえば高知県には豊かな山の自然を生かした様々なアドベンチャーツアーがありますが、今回は電波状況の問題から断念せざるを得なかったスポットも少なくありません。通信可能な候補地の中から、せっかく『OriHime』を介して体験を提供するのであれば、魚が釣れる瞬間の迫力や、イルカがジャンプするダイナミックな臨場感を伝えたいという思いから、今回は海や川のアクティビティを中心にした経緯があります」(有限会社ファクトリー・織田庸三氏)

 現在は今秋のツアー実施に向けて、電波状況のチェックに取り組んでいるという織田氏。今回のツアーが理想的に遂行されれば、更に幅広いコンテンツが提供できるようになるでしょう。

 最後に、今回のプロジェクトについて期待する成果を、有限会社ファクトリーの上田祐嗣代表にお聞きしました。

「今回はあくまで実証実験という位置づけになりますが、最終的には単体の事業として成立させることが目標としてあります。また、高知県にユニバーサルツーリズムを定着させるためには、観光コンテンツやツールの整備はもちろん、それを適切に運営する組織の育成も急務で、そのための準備も進めています。こうした構想がうまく実現した暁には、マリンレジャーひとつをとっても高知県は沖縄にも劣らないスポットであるということが、広く知っていただけるのではないでしょうか」

 地域の魅力を周知し、なおかつ誰でも楽しめる環境として整備すること。それは「障がいがあるから観光できない、といった思い込みを解くきっかけにしたい」(前出・横山氏)という、「心のバリアフリー」を目指す取組でもあるのです。

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最後に…
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