“ユニ着て旅する”!サッカー観戦から地域の周遊まで楽しくスマホ1台で。
各種スポーツイベントにおいて、コロナ禍の影響は顕著です。例えばサッカーの場合、スタジアムの集客はもちろん、周辺にある飲食店や商業施設の経営不振に直結し、改めて地域経済の活性化に向けた施策が求められています。
見方を変えれば、スポーツイベントは定常的に人流誘導をもたらすものであり、スタジアムへの来場者をより効果的に地域の周遊へ誘導できれば、地域活性化の大きな原動力になると期待できます。つまり、スポーツイベントと地域を連携させる効果的な取組が求められていると言えます。
■事業の概要
そこで、Jリーグの試合観戦に訪れた観客を対象に、スタジアム周辺地域をより楽しんでもらうことを目的に開発されたアプリ「ユニタビ」による取組の全容を、スポーツイベントツーリズムコンソーシアムの皆さんに話を聞きました。
■「ユニタビ」で地域情報を発信
「コロナ禍により、各種スポーツイベントも大きなダメージを被りました。我々が今回実証の場に選んだサッカーにしても、まず収容人数に制限がかかり、それが解除されてからも、感染リスクへの不安からなかなか集客が戻りきっていないのが実情です。J1リーグでいえば、コロナ前(2019シーズン)は1試合あたり平均約2万人の来場があったものがなくなり、興行サイドはもちろん、地域の飲食店などの収益も激減しています」
そう語るのは、スポーツイベントツーリズムコンソーシアムの代表企業である、ぴあ株式会社の國分悠伸氏です。ただし、これはあくまで短期的な課題に過ぎません。地域の人口減少という中長期的な課題と合わせて、早急な対策が求められていると國分氏は言います。
「問題は、スタジアムにやってくるお客さんに、いかにその地域を周遊していただくかです。そこで今回の取組では、『ユニタビ』というアプリを新たに開発し、スポーツ観戦の前後に活用できる地域情報の提供を行っています」(國分氏)
「ユニタビ」は、“ユニ着て旅する”をコンセプトに、北海道札幌市・茨城県鹿嶋市・京都府・静岡県清水市・福岡県福岡市の5地域を実証地域に設定し、スタジアム観戦の前後に周辺観光を促すために開発されたアプリです。購入した観戦チケット(QRチケット)をアプリに登録すると、アプリ上で観光スポットや飲食店の情報をチェックしたり、現地への移動手段を確認することができます。また、アプリを活用したスタンプラリーも実施し、スタジアム周辺各所への周遊意欲が高まるイベントを提供します。
この「ユニタビ」を通して得られた情報は、多角的なデータを見える化するBI/CMSツール(※1)を活用して分析し、データドリブン(※2)な観光施策を設計することで、さらなる地域活性化へとつなげます。
(※1) BI/CMSツール:ITを活用してデータを収集・分析し、その結果をグラフや図表等のレポートの形でわかりやすく表すシステム
(※2)データドリブン:データを収集・分析し、ビジネス上のさまざまな課題に対して判断・意思決定を行うこと
■電子チケットの需要の増加をきっかけに
長年、Jリーグのチケット販売を担ってきたぴあでは、電子チケット購入から来場までのユーザーデータを保持し、それを各Jリーグのクラブと共にマーケティングに活用してきた経緯があります。
「コロナ禍で試合運営上の非接触が必要になったことから、電子チケットの需要は増しています。これを足掛かりにして、ゆくゆくは『ユニタビ』を通して得られたデータを、次のシーズンの観光施策に活用できるように事業を展開していきたいと考えています」(同)
アプリの開発に携わった株式会社ナビタイムジャパンの古木和彦は、「ユニタビ」のコンセプトについて次のように補足します。
「スポーツイベントはコアなファン層が盛り上がりを牽引する一方で、ライト層が置き去りになってしまいがちです。そこでアプリ開発にあたり、できるだけ幅広いユーザーを獲得するために、どのような世界観を設計するべきなのか、多くの議論を重ねてきました。最終的に“ユニ着て旅する”というコンセプトに着地してから一気にプロジェクトの進行が加速した印象で、いかに気楽にこのアプリをダウンロードしてもらうかがポイントでした」
将来的には「この取り組みをJリーグすべてのチームを応援するファン・サポーターの方にご活用いただけることを目指したいですし、更にはサッカーだけでなく他の競技、あるいはスポーツ以外の分野へと広げていければ」と語る國分氏。
コンソーシアムではすでに、今秋のサッカー興行で実証実験を終えています。その成果がこれからのスポーツイベントにどう活用されるのか、期待しましょう。
※『ユニタビ』の詳細はこちら>>>https://uni-tabi.jp/static/lp/index.html
*********************************************************************************
本事業の公式Webサイトでは、他にも各地域で取り組まれている事例を順次掲載しています。
こちらもぜひご覧ください!
【観光DX事業公式Webサイト】https://kanko-dx.jp/
【観光DX事業公式Twitterアカウント】https://twitter.com/digitalxproject
*********************************************************************************